なぜAKB48総選挙は、これほどまでに人々を引き付けるのか。いろいろな人が、いろいろなことを言っている。筆者が一番、共感したのは茂木健一郎氏のツイートだった。
「ぼくは、AKB48の顔と名前が一致しないおじさんだが、彼女たちが日本人の心を惹きつける理由はわかる。『総選挙』にも現れる、『ガチの勝負』のすさまじさ。言い訳は利かない。その人の吸引力のようなものが、ストレートに現れてしまう。今の日本に、そんな勝負がどこにあるか。『アイドル』のことと偏見を持っているような日本の社会の『まとも』の方が、よほどガチな努力をしていない。受験だって、家庭の経済力で塾や家庭教師の差がついて、本当はガチな勝負ではないと、みんなわかっている。既得権益のおじさんたちは、ふんぞり返ってサボっている。それが日本。AKB48から、学んだらいいんじゃないか。全力でぶつかって、ありったけを込めて、それでも、結果は残酷に現れる。そんな『ひたむきさの元素』のようなものを、彼女たちの総選挙や、じゃんけん大会から学んだらいいと思う。そろそろ、本気を出してもいいんじゃないか、日本」
最後のこの稿は引用ばかりで、ほとんど自分で文章を書いていない。しかし、それが「キュレーション」の本質だろう。キュレーションとは情報を収集しまとめること。そして収集した情報を、つなぎ合わせることで新しい価値を生むことだ。すべて引用文だけで構築され、しかもまったく異なるジャンルからの引用をつないで、完成した姿はあっと驚く視座を提供するーー。そんな究極のキュレーションを目指したい。
初回である。志は高く。
これからどうぞご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。●広木隆(ひろき・たかし)
:マネックス証券チーフ・ストラテジスト
1963年生まれ。上智大学外国語学部卒業。87年大和証券に入社。その後、ファンド・マネージャーを志し、資産運用業界に転身。富士投信投資顧問、フィデリティ投信、JPモルガン・アセット・マネジメントなど、国内系、外資系の運用会社を渡り歩き、株式投資の最前線に20年以上携わる。2010年9月より現職。