このたび、Business Journalキュレーション執筆陣の末席に加えていただきました、広木隆です。マネックス証券でチーフ・ストラテジストをしています。ストラテジストというのは相場の見通しを立てたり、投資戦略を立案したりする仕事です。
まずは本業に関するこのニュースから。
東証株価指数(TOPIX):バブル崩壊後の最安値を記録 – 毎日jp(6月5日)
6月4日、東京株式市場は大幅に下落し、東証株価指数(TOPIX)はリーマンショック後の2009年3月につけた、バブル崩壊後安値を更新した。83年12月以来、実に28年半ぶりの低水準である。株価が低迷している理由の解説は、巷間、いろいろある。いわく、「ギリシャのユーロ離脱懸念、スペインの金融不安などで世界的なリスク回避の動きが加速している」。いわく、「米国の雇用統計も悪化し、世界経済の減速感が株安を招いている」etc…….
しかし、それらの理由は最近の世界株安の”背景”を説明できても、ここまで日本株”だけ”が安値に沈む理由の説明にはならない。債務危機の震源地であるギリシャの株価ですら、89年末以来、せいぜい20数年ぶりの安値である。日本はさらにその上をいく約30年ぶりの安値だ。
これをどう捉えたらよいか?
つまり、こういうことなのだろうと思う。日本株は20年かけて80年代バブル相場の清算をしてきたのだと。日本株の史上最高値は89年末。90年代と00年以降の20余年をかけて、バブルがまだ発生する前の80年代前半の水準に戻したのだ。「失われた20年」ではない。「失われた30年」だ。
しかし、悲嘆にくれる必要はない。失われた30年で失ったのは「日本株の割高感」である。ようやく、バブルの後始末がついたのだ。これでスクラッチからスタートできる。そう考えよう。
「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない」(キルケゴール)
「会社のトイレを全て和式に」、野村HDの株主が珍提案 – 毎日jp(6月4日)
3月決算の上場企業は、株主総会の準備に余念がない頃だ。株主の元には総会の招集通知が続々と送られているが、野村HDの招集通知に記載された、ある株主からの議案が話題となっている。
「オフィス内の便器はすべて和式とし、足腰を鍛錬し、株価四桁を目指して日々ふんばる旨定款に明記するものとする」
という珍妙なものだったからだ。この株主は他にも商号を「野菜ホールディングス」に変更するよう要求、計100項目の提案をし、このうち18議案が総会に付議するための要件を満たし、招集通知に記載された。実際に以下で確認できます。