財務省が19日発表した2023年度上半期(4~9月)の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、2兆7184億円の赤字となった。赤字額は上半期として過去最大だった前年同期(10兆9075億円の赤字)から大幅に縮小した。輸出額が初めて50兆円を超えて過去最大となったほか、資源高の一服が輸入額を下押しした。
上半期の輸出額は、半導体不足の解消によって自動車の輸出が伸び、前年同期比1.4%増の50兆2418億円だった。米国向けハイブリッド車(HV)の輸出が好調だった。輸入額は12.4%減の52兆9602億円。資源高の緩和によって、原粗油は28.1%減、液化天然ガス(LNG)は37.9%減など軒並み減少した。
同時に発表した9月の貿易収支は624億円の黒字となり、3カ月ぶりに黒字に転換。輸出額が前年同月比4.3%増の9兆1981億円となり、単月としての過去最高を更新した。輸入額は16.3%減の9兆1357億円だった。中国向けの食料品輸出は58.0%減少。東京電力福島第1原発の処理水放出を受けての、中国の日本産水産物の禁輸が影響したとみられる。
年度後半の見通しについて、みずほ証券の秋元俊吾マーケットエコノミストは、減産に伴う最近の原油価格の上昇やイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突を踏まえ、「資源高で再び赤字が拡大するリスクが高まってきている」と話している。
◇23年度上半期の貿易統計
輸出額 輸入額 差引額
総 額 502,418 529,602 ▲27,184
(1.4) (▲12.4) ( ― )
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国 89,074 117,725 ▲28,651
(▲8.2) (▲6.2) ( ― )
米 国 100,753 55,885 44,868
(10.6) (▲6.0) (42.0)
E U 53,086 57,100 ▲4,014
(13.5) (2.7) ( ― )
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同期比増減率%。▲は赤字または減。―は比較できず
◇9月の貿易統計
輸出額 輸入額 差引額
総 額 91,981 91,357 624
(4.3) (▲16.3) ( ― )
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国 16,237 21,946 ▲5,710
(▲6.2) (▲5.0) ( ― )
米 国 18,963 9,412 9,551
(13.0) (▲12.3) (58.1)
E U 9,338 9,517 ▲179
(12.9) (▲5.9) ( ― )
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。▲は赤字または減。―は比較できず
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2023/10/19-12:18)