22日の日経平均株価の終値が史上最高値を更新した。背景の一つが、10年以上にわたる日銀の大規模金融緩和。マイナス金利解除を模索する現在も、低金利は当面続くとの観測が株式投資の安心感につながっている。日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れも、相場を強力に下支えしている。
2013年4月、就任直後の黒田東彦総裁(当時)が打ち出した「異次元緩和」。大量の国債買い入れでマネーを金融市場に流し込み、中央銀行としては異例のETF購入も拡大した。大規模緩和はその後も続き、円安・株高が定着した。
23年には経済学者出身の植田和男氏が黒田氏の後任として総裁に就任。賃金と物価の好循環を背景とした2%の物価目標の実現を視野に入れつつあり、日銀は今年の春闘の賃上げを見極めた上で、大規模緩和の正常化の是非を検討する。
「マイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げしていくような経路は考えにくい」。日銀の内田真一副総裁が今月8日、解除後も緩和的な金融環境を維持する考えを表明すると、同日の株価は一時800円超の値上がりを演じた。
日銀が金融正常化に踏み切れば、急速に金利を引き上げるとの警戒感が海外投資家を中心に根強かった。それだけに、発言は好感され、株高に拍車をかけた格好だ。
日銀によるETF買い入れも株高を支えてきた。23年9月時点の保有額は簿価ベースで約37兆円。株価上昇で23兆円あまりの含み益が生じ、時価ベースでは約60兆円に達する。日銀はETFを通じた株式の間接保有により、多くの国内企業の「大株主」になっている。
日銀は政策変更する場合、ETFの新規買い入れを中止する一方、保有しているETFの処分は先送りする見通し。今後、ETFの売却に動いたり、大幅な利上げに踏み切ったりすれば、株価に影響が及ぶのは必至で、株式市場で日銀の存在が無視できない状況は続く。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/02/22-16:08)