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日経平均株価がバブル期を超え、史上最高値を更新したが、日本経済のけん引役は当時とは一変した。発行済み株式数に株価を掛けて算出する「時価総額」の上位ランキングで、1989年末には銀行が圧倒的な存在感を誇っていたが、直近の顔触れは多様化が鮮明だ。
株価が前回ピークを付けた89年末のトップ10には、日本興業銀行(現みずほ銀行)や住友銀行(現三井住友銀行)、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)など6銀行がランクインした。大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「社会全般で財テクが進み、『投資』が『投機』の域にあった。土地高騰もあり、取引を仲介する金融機関の市場評価が利益水準に照らしても異常に膨らんでいた」と指摘する。
これに対し、今年1月末時点の顔触れは、トヨタ自動車を筆頭に、ソニーグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ファーストリテイリング、NTTなど。製造業や金融、小売り、通信など、幅広い業界でグローバルに活躍し業績が堅調な企業が並ぶ。神田氏は89年末と比べ「今の方がバランスが取れていて安定感がある」と話す。
岡三証券の小川佳紀投資情報部長は、上位銘柄の違いなどを引き合いに「現在の景気期待は(長期的に見て)バブルではない」との見方を示す。株価の急ピッチな上昇に対する調整局面はあっても、年末に向けて再び高値を目指す可能性は十分あるという。
ただ、日本株の持続的上昇には、経済の好循環実現が欠かせない。神田氏は「若年層を中心に賃上げが不可欠な流れだ」と強調。大手企業には、収益を研究開発や設備投資だけではなく、賃上げや中小企業との取引条件改善に振り向けることが一層求められそうだ。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/02/22-16:27)
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