こども家庭庁は29日、少子化対策に充てるため、公的医療保険に上乗せして徴収する新たな支援金の負担額の試算を公表した。医療保険別に被保険者1人当たりの平均月額をみると、最も多いのは公務員向けの共済組合で、2028年度時点で950円。75歳以上の後期高齢者医療制度は最も少ない350円だった。
他は、大企業の社員向けの健保組合が850円、中小企業の協会けんぽが700円、自営業者などの国民健康保険は1世帯当たり600円。
後期高齢者医療制度以外の医療保険は、世帯主が被保険者となり、家族分も含めた支援金をまとめて支払う。協会けんぽや健保組合、共済組合は、事業主が別途同額を負担する。
国保と後期高齢者医療制度は低所得者向けの負担軽減措置を設ける。政府は26年度から支援金の徴収を開始。段階的に引き上げて28年度以降は年1兆円を確保する。これを各医療保険の加入者数などで案分すると、1人当たり月平均450円となる。内訳は協会けんぽは450円、健保組合は500円、共済組合は600円、国保は400円。
ただ、試算は平均額で、実際の負担は収入や世帯人数、働き方で変わる。同庁への取材によると、賃上げを加味せず、現時点で28年度の最大額を単純計算した場合、健保組合などの被保険者で年収約2200万円以上の人は、月2800~3500円程度の負担増になるという。
政府は今国会に支援金制度や少子化対策を盛り込んだ関連法案を提出し、4月2日に衆院で審議入りする。岸田文雄首相は本会議で趣旨説明する予定だ。
政府は支援金のほか歳出改革で1.1兆円、規定予算の活用で1.5兆円を捻出し、合計で年3.6兆円を少子化対策に充てる計画。支援金制度を巡り、政府は賃上げと歳出改革で「実質的な追加負担は生じない」と主張するが、野党からはより詳しい説明を求める声が強まりそうだ。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/03/29-17:02)