円安・ドル高が続く外国為替市場で2日早朝、政府・日銀が円買いの為替介入を直ちに公表しない「覆面」方式で再び実施したとの見方が広がった。市場関係者の推計によると3兆円規模。東京が祝日だった4月29日も5兆円規模で覆面介入とみられる動きがあった。今回はニューヨーク時間の取引終盤で、政府・日銀は「24時間体制」で、取引の薄い時間帯に介入を断続的に行っている可能性がある。
為替介入は、財務相の指示に基づき日銀が実施する。実務を指揮する財務省の神田真人財務官は2日も「ノーコメント」と述べた上で「24時間、適切な対応は取っていく」と強調した。覆面介入は、市場参加者をいつ介入が行われるか分からない疑心暗鬼に陥らせ、介入効果を高める手法だ。
2日早朝に介入とみられるまとまった円買い・ドル売りが入ったのは、米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を高水準に据え置く決定を2日午前3時に公表してから2時間ほど後。「取引の薄い時間帯を狙って円安の流れを一気に押し戻そうとした」(資産運用会社)との見方がある。
4月29日は薄商いの市場で覆面介入を実施したとの見方が強い。1日の介入規模としては過去最大だった2022年10月21日の5兆6202億円に匹敵する可能性がある。
財務省は為替介入の実施額を毎月公表しているが、4月26日~5月29日の実施額公表は5月末の予定。5月9日に公表する4月末の外貨準備高でも推測可能だが、覆面介入の有無がはっきりするのは5月末で、それまでは疑心暗鬼が続きそうだ。
ただ、円買い介入はいつまでも続けられそうにない。介入原資となるのは、3月末時点で約1兆2900億ドル(約200兆円)に上る外貨準備高で、政府は大半を米国債など外国証券で運用している。SMBC日興証券は、即座に活用できる現預金と償還期間が短く売却しやすい証券を合わせた3000億ドル程度(約45兆円)が当面の介入資金の上限と試算する。薄商いの時間帯に介入効果の最大化を狙っているとみられる政府・日銀と、介入資金の残額を計算する投機筋との神経戦が激しくなりそうだ。 (了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/05/02-20:56)