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G20財務相・中央銀行総裁会議声明(仮訳)

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時事通信

(2024年7月25~26日、ブラジル・リオデジャネイロ)
1.我々、G20財務大臣・中央銀行総裁は、2024年7月25~26日に、ブラジルのリオデジャネイロで会合した。我々は、招待国と国際機関の当局者から参加を得たことを光栄に思った。2024年のG20におけるブラジル議長国により確立された三つの包括的な優先事項、すなわち、(1)社会的包摂と飢餓と貧困との闘い、(2)エネルギー移行と持続可能な開発、(3)グローバルなガバナンス・機関の改革に向け進捗(しんちょく)する目的で、我々は、世界経済の進展、金融セクターの課題と金融包摂、税、持続可能な気候資金、強靱(きょうじん)なインフラや、資本フロー、世界的な債務、国際開発金融機関の改革を含む開発資金について意見を交換した。

2.我々は、5月にリオグランデ・ド・スル州を壊滅させた記録的な洪水の余波を受けた、ブラジル及び同州の人々との連帯を表明する。我々は、また、異常気象や自然災害に直面するその他の国々の人々と政府とも連帯する。これらの事象がより頻繁かつ激しくなり、多くの人々に影響を及ぼすとともに我々の経済に被害を与えるにつれ、我々は、気候変動と環境危機に対処することと、これらと他の喫緊の地球規模課題に対処するための野心的で効果的な行動をとることの重要性を強調する。

3.我々は、飢餓と貧困撲滅のためのグローバル・アライアンスの創設に関する、G20による2024年7月24日の合意を歓迎し、2024年11月のG20首脳会議における立上げに期待する。我々は、既存のイニシアティブと重複することなく、不平等を削減しつつ(SDG10)、貧困と飢餓の撲滅(SDGs1および2)に向けた取組を支援し加速するという新たなコミットメントを優先事項として確立し、パートナーシップの再活性化(SDG17)および相互に連関したその他のSDGsの達成に貢献する。我々はまた、気候変動に対する世界的な資金動員のためのタスクフォースにおいて進行中の作業を歓迎する。このタスクフォースは、シェルパ・トラックと財務トラックを一つに呼び集め、気候変動を世界経済のアジェンダにさらに主流化することで、気候行動と野心を向上することを目的としている。
世界経済見通しと進行中の課題

4.我々は、世界経済のソフトランディングの可能性が高まっていることについて勇気づけられている一方で、複数の課題が残っている。我々は、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長(SSBIG)を促進するための我々の政策を調整し、明確に意思疎通することを継続し、物価や金融の安定を維持し、財政の持続可能性を支え、負の波及効果を軽減する。我々の財政政策は、財政の持続可能性を守り、バッファーを再建し、成長に配慮することを継続し、生産性を向上させる改革に対する官民投資を促進する。よく調整された金融政策と供給ショックの巻き戻しに起因して、インフレは高い水準から下がり続けてきている。中央銀行は、それぞれのマンデートに沿って、物価の安定を達成することに強くコミットしてきており、引き続き、データを踏まえながら政策を調整する。経済活動は、世界の多くの地域で予想されていたよりも強靭であることが明らかになったが、その回復は国々の間で不均衡が大きく、それが経済面での差異を広げるリスクに貢献している。我々は、中長期的な世界の成長見通しが過去の平均を下回ることを引き続き懸念している。我々は、構造的な改革や措置を通して、国々の間の成長格差を減らそうと努力し続けるだろう。我々は、2021年4月の為替相場についてのコミットメントを再確認する。

5.我々は、保護主義に抵抗することにコミットし、世界貿易機関(WTO)を中核とする、ルールに基づく、無差別的で、公正で、開かれた、包摂的で、公平で、持続可能かつ透明性のある多角的貿易体制を支持するための協調努力を奨励し、加盟国による同機関の改革に向けた取組を引き続き支持する。

6.見通しに関するリスクは引き続き概してバランスしている。上振れリスクには、強化された世界的な協調、予想よりも早いインフレの鎮静化、安全で責任ある人工知能(AI)の開発と導入を含む技術革新による生産性の向上が含まれる。下振れリスクには、戦争と激化する紛争、経済的分断、より長期間、より高い金利につながる予想よりも持続的なインフレ、異常気象、公的及び民間部門における過剰債務、いくつかの国の民間セクターにおける限られた財務バッファー、予想よりも低い生産性の伸び、AIを含む新たな技術から生じ得る悪影響が含まれる。新たなショックを吸収するバッファーと政策の余地が限られることは、特にEMDEsにおいて成長見通しを更に妨げうる。

7.長年にわたる地球規模課題は、多国間の連携と果断な行動を要求し続ける。貧困、飢餓、栄養不良と疾患、各国間・各国内で存在している不平等、人口構成の転換、技術と質の高い教育への不十分なアクセス、エネルギー及び食料不安、社会的支出や投資をカバーするための重大な資金ギャップ、高水準の債務負担、EMDEsへの低位にとどまる長期的な資金フロー、低い生産性の伸び、生物多様性の重大な喪失、及び気候変動は、主な懸念事項である。こうした課題があることを認識しつつ、我々は、持続可能な開発のための2030アジェンダ及びSDGsの達成に向けた進捗を加速させるというコミットメントを再確認する。

8.我々は、不平等を削減することがSSBIGを達成するために重要であることを認識する。世界的な所得の不平等は、2000年以降大幅に縮小していたが、近年その縮小は減速している。この文脈において、我々は、不平等の圧力に対処するための政策措置及び提言のメニューに関するG20ノートを歓迎する。このノートは、不平等に対処するための政策オプションを示し、国際協力の重要性を強調する。政策措置の一般的なガイドラインに合意する余地があることには留意されるが、不平等には多元的な性質があることを考慮すると、すべてに当てはまる単一のアプローチは存在しない。気候変動と移行政策の分配面への負の影響は、適切な政策によって軽減されない場合、不平等問題を大幅に悪化させうる。我々は、不作為がもたらすコストは作為がもたらすコスト以上のものとなるとの理解を再確認する。我々は、気候変動と持続可能な移行政策のマクロ経済・分配面への影響に関する技術的な議論の成果に期待する。
持続可能な開発金融の強化に向けた協調行動

9.気候変動と生物多様性の喪失の結果は、我々の経済に重くのしかかり、我々の社会に痛ましい犠牲をもたらす。そのため、我々は、各国の状況と制度上のマンデートを考慮しつつ、包摂的かつ持続可能な開発を促し、公正な移行を促進しながら、気候変動と生物多様性の課題に対処するため、効果的な政策枠組を促進し、適切かつ安価でアクセス可能な資金を動員することに注力している。我々は、2024年のG20サステナブル・ファイナンス報告書と、気候・環境関連基金に対する独立ハイレベル専門家グループレビューを受け取ることを期待する。

10.我々は、異なる使用事例に対応し、異なる法域の枠組を認識し、各国の事情を考慮しつつ、金融機関及び企業の強固で信頼性のある公正な移行計画の推進に焦点を当てたサステナブル・ファイナンス作業部会のアジェンダを支持する。我々は、企業及び金融機関の移行計画に関するもので、その採択は任意で拘束力がない、ハイレベル原則の策定に期待する。我々は、気候行動と開発の課題の間のつながりと誰一人取り残さないことを確保するとのコミットメントを強化する、G20メンバーによる公正な移行に関する検討を歓迎する。我々は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によって策定された基準といったサステナビリティ報告基準の恩恵を認識しつつ、特に中小企業やEMDEsにとってのこれら基準の実施の課題に関する進行中の評価にも留意する。我々は、これらの課題に対処し、信頼性のある、比較可能で、相互運用性のあるサステナビリティ報告開示基準を促進する方法に関する勧告に期待する。そうした開示基準は柔軟で、各国固有の状況を考慮する。

11.我々は、ブレンディッド・ファイナンス戦略と革新的で持続可能な資金支援の手段の統合を強調している、自然を活用した解決策(NbS)のための資金支援の手段のリポジトリ作成に対する進展を歓迎する。我々は、NbS資金調達の規模拡大の課題に対処するための勧告、及びNbS資金支援の手段とケーススタディのG20オンラインリポジトリの作業を続ける。我々は、自発的で柔軟性のある「G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」を実施するための我々の取組を加速することにコミットする。

12.保健関連のSDGsを公平な方法で達成するために、パンデミックへの予防・備え・対応(PPR)のためのグローバル・アーキテクチャーを強化し、グローバル・ヘルスに対する持続可能な資金を動員することは、依然として喫緊の問題である。COVID―19のパンデミックの後、財務・保健合同タスクフォース(JFHTF)を通じた、G20のリーダーシップは極めて重要であった。JFHTFは、パンデミックPPRのための財務・保健当局間の連携を強化し、健康危機を予防し、それに対処し、各国の保健システムを強化するための資金を増やすことを可能にした。我々は、最初の2回の会合とG20議長国によるサイドイベントにおけるJFHTFの進展に勇気づけられている。我々は、リオデジャネイロで10月31日に開催される財務大臣・保健大臣合同会議(JFHMM)までに、JFHTFの2024年の作業計画に記載されている三つの優先事項の下で主要な成果物が最終化されることを期待する。我々はパンデミック基金について、EMDEsのパンデミックPPR能力の強化のための資金を増強するため、特にドナー層の自発的な拡大を通じて、支援の拡大を求める。

13.我々は、気候変動という世界的な文脈において、気候変動に強靱で質の高いインフラの重要性を強調する。この目的のために、我々は、気候変動に強靱なインフラへの資金調達と投資の成功事例を、各国の状況と優先事項を考慮しつつ、地理的・済的条件の異なる国々における包括的なケーススタディとして提示している、気候変動に強靱なインフラへの資金調達と投資のアプローチに関するG20/OECD報告書を歓迎する。我々はまた、適切な資金メカニズムと政策設計を通じてアフォーダビリティを確保するという包括的なニーズを考慮しながら、インフラと貧困削減の連関、インフラプロジェクトにおける為替リスクの軽減、国境を越えたインフラの資金調達における課題に関する進行中の分析作業の結果を期待する。

14.我々は、とりわけ、市場の変動、タイトな金融環境、債務脆弱(ぜいじゃく)性が、資金調達コストが増す中で、短期的に公的予算の圧迫を助長しうると認識する。我々は開発金融における課題への各国個別の解決策は、成長、国内資金動員、能力構築、民間資金フロー、的を絞った譲許的資金を支援するための政策措置の組み合わせに基づきうると確信する。我々は、健全なマクロ経済枠組、野心的な改革と投資を実施する途上国の努力に対する支援を強化することを国際社会に求める。我々は、IFAWGに対して、これらの課題について議論することを求める。
国際開発金融機関の変革及びいかにそれらが協働するか

15.従前のG20議長国から受け継いだものを基礎とし、我々は、各国の持続可能な開発目標並びに地球規模及び地域的課題によりよく対処するために、新たな危機感と決意をもって、低・中所得国の開発ニーズと優先課題への対応に引き続き焦点を当てつつ、より良く、より大きく、より効果的な国際金融開発機関(MDBs)をもたらすコミットメントを再確認した。我々は、MDBsの個別のマンデートを尊重しつつ、MDBsの共同かつ連携した行動が、一つのシステムとして付加価値を生むような分野に焦点を当てる。我々は、世界銀行のその改革ロードマップの進捗と、他のMDBsが取り組んでいる改革を歓迎する。我々は、MDBsと各国・地域の開発銀行を繋ぐ進行中のイニシアティブを奨励する。

16.我々はMDBsに対して、引き続き、運営及びインセンティブ構造を強化し、高い水準を維持しながら、能力構築、知見共有、低中所得国への貸出を含む支援の対応力及びアクセス可能性を向上させるよう求める。我々は、MDBsの財務持続可能性や強固な信用格付けを維持しつつ、MDBの理事会に対して、MDBの戦略的目標を達成するために、適用可能な場合は、あらゆる手段を講じてMDBsのファイナンス能力を十分に強化することを求める。我々は、MDBsが、開発効果を最大化するために、可能とする状況、革新的なリスク配分手段、新たなパートナーシップを支援することを通じて、民間資金の動員を強化することを奨励する。これは、全ての適切なCAF提言の実施とともに、潜在的な増資のレバレッジ効果を最大化するものである。各MDBの理事会は、地球規模の課題と開発のニーズへの対処に向けた努力を支援するため、CAF措置に加えて増資が必要かどうか、またいつ必要かを決定する上で、最も適切な立場にある。我々はさらに、MDBsに対し、地理的及び女性代表性を高めることを含め、その開発効果を最大化するよう求める。

17.我々は、より良く、より大きく、より効果的なMDBsに向けてのG20議長国及び国際金融アーキテクチャ(IFA)作業部会共同議長の文書に留意する。我々はまた、米州開発銀行(IADB)の議長のもとMDBs総裁が作成した「見解文書」(View point note)をG20MDBロードマップへのインプットとして留意する。我々は、第4回財務大臣・中央銀行総裁会議にて、伯議長下の主要な成果物として、G20MDBロードマップが提出されることを期待する。

18.我々はG20進捗報告書「MDBsの自己資本の十分性に関する枠組(CAF)に関するG20独立レビューの勧告の実施」を歓迎する。我々は、今後10年間に主要MDBsが供給する追加融資の資金余力を最大3,570億米ドルまで引き出す可能性のある措置がすでに特定されており、これを含む、これまでのCAF実施にかかる進捗を称賛する。我々は、MDBsが野心を引き上げ、共同して、優先的に弁済を受ける地位やポートフォリオ集中のリスクにかかるMDB全体の基準の創設を含む、CAFにかかるG20ロードマップ及びG20進捗報告書の両方からのCAF勧告の実施及び報告を継続することを求める。我々は、MDBsに対して、請求払資本をよく評価するためのアプローチを共同して開発・採択し、それぞれのCAF枠組の信頼水準とリスク選考度を調整し、10月の会合で進捗を報告することを要請する。我々は、MDBsに対して、格付機関(CRAs)との対話を強化することを奨励する。

19.我々は、チャネリングされた結果発生するSDR建て請求について、SDRの準備資産としての地位を尊重し、かつSDRの流動性を確保しつつ、特別引出権(SDR)チャネリングオプションについてのG20ノートを歓迎し、また、国際開発金融機関(MDBs)へのSDRチャネリングに意欲がありかつ法的にそれを模索することが可能な国に、引き続き参加を呼び掛ける。SDRチャネリングは、飢餓と貧困に対抗するグローバル・アライアンスの目標を含む、SDGsと地球規模課題を支援するための国際開発金融機関(MDBs)の財務能力を強化し得る。本年の、成功裏のアジア開発基金増資(AsDF14)に続いて、我々は、飢餓・貧困との戦いを含む、低所得国の発展をサポートするための最も大きな多国間の譲許的資金の源泉としての国際開発協会(IDA)の重要性を強調する。我々は、IDAの独立したガバナンス及び意思決定プロセスを尊重しながら、ドナー層の拡大を含む、これらの優先事項がIDA21増資成功の重要な要素になることを期待する。我々は、国際農業開発基金(IFAD)の第13次増資交渉の成功を認識するとともに、プレッジをしていない国に対して、更にプレッジを行うことを奨励する。我々は、アフリカ開発基金の第17次増資(ADF17)の成功を期待する。我々は国際復興開発銀行(IBRD)の2025年の投票権見直しをさらに期待する。
債務脆弱性への対処

20.我々はG20の「共通枠組」(CF)下及びその他の債務措置の進捗を歓迎する。我々は、予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法でCFの実施を強化することを含め、債務脆弱性に対処することに引き続きコミットする。我々は、ザンビア及びガーナに対する合意した債務措置に関する覚書を歓迎する。我々は、エチオピアに対する債務措置の妥結に向けた迅速なプロセスを求める。「共通枠組」の他、我々は公的な2国間債権者により合意されたスリランカの債務措置も歓迎する。我々はまた、債務の透明性の向上に向けて作業を継続する全てのステークホルダーによる共同の取組を歓迎し、民間債権者が後に続くことを奨励する。

21.我々は、「共通枠組」下の初の事例から得られた教訓に関するG20ノートの進展に勇気づけられている。このノートについて合意に達することは、共通枠組の実施を更に促進する。我々は、民間セクターと債務国を含む主要なステークホルダー間の共通理解をさらに深めるため、公的債務にかかるグローバル・ラウンドテーブルを引き続き支持し、IMF・世界銀行とその支援における彼らの役割を称賛する。我々は、自発的且つケースバイケースで検討されうる「開発債務スワップ」および「気候変動に対する強靱性を取り入れた債務条項(CRDCs)」に関するG20議長国ノートに留意し、それらの利点と限界についてバランスの取れた見方を求める。

22.我々は、2024年6月にG20議長国ブラジルが開催したアフリカ主導の債務と開発資金に関する対話を歓迎する。G20は、G20アフリカとのコンパクトを通じたものを含むアフリカへの継続的な支援を再確認する。
グローバル金融ガバナンスの改革

23.我々は、グローバル金融セーフティ・ネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、第16次クォータ一般見直しにて合意されたクォータ増資、ならびに、新規借入取極(NAB)の関連した調整についての国内承認を今年11月中旬までに得るべく取り組んでいる。我々は、最も貧しい加盟国のクォータシェアを守りつつ、加盟国の世界経済に占める相対的な地位をより良く反映させるための、クォータシェアの調整の緊急性と重要性を認識する。我々は、第17次クォータ一般見直しの下での、新たなクォータ計算式を通じたものを含む、更なるクォータシェア調整に向けた指針としての可能な複数のアプローチを2025年6月までに策定するためのIMF理事会における進行中の取組を歓迎する。我々はIMF理事会におけるモメンタム形成を助けるために建設的に行動する用意がある。

24.我々は、チャージ・サーチャージのインセンティブ機能を維持し、また、IMFの財務健全性を保護しつつ、理事会におけるチャージ・サーチャージ見直しと、借入国の財政負担軽減につながる結果に期待する。我々は、内部資金の活用及び融資政策の変更を含む、すべての選択肢を探求することにより、低所得国の国際収支上のニーズにより良く対応し、貧困削減・成長トラスト(PRGT)の財務持続性を確保するための、PRGTのファシリティと資金に関する見直しの完了に期待する。我々は、強靭性・持続可能性トラスト(RST)の中間見直しの完了を歓迎し、トラストのパンデミックへの準備の側面の稼働に期待する。我々は、強い対外ポジションを有し、特に、まだ貢献していないIMF加盟国に対して、PRGT・RSTへの追加的で自発的な貢献を奨励する。

25.我々は、より効果的で、信頼性があり、説明責任のある正当な機関を実現するために、MDBs及びその他の国際経済及び金融機関の意思決定における途上国の代表性及び発言権を強化する必要性を強調する。この文脈において、我々は、サブサハラ・アフリカの発言権と代表性を強化するため、IMF理事会に25番目の理事を設ける決定を歓迎する。我々は、IFAWGにて進行中の、国際金融機関における地域的・女性の代表性に関する取組を調査する作業を認識する。

26.我々は、持続可能な資金フローの促進や、過度な資金フローの変動に対処するための健全な政策枠組みの必要に応じた使用等を通じた、国際金融アーキテクチャの更なる強化に向けた我々のコミットメントを再確認する。我々は、EMDEsへの資金フローに影響を与える要因の評価、そして、EMDEsが安定的かつ長期的な海外からの投資フローを誘致・維持する機会及びそれを妨げる障壁の分析に係る進行中の議論を歓迎する。我々は、EMDEsへの資金フローの強靭性に関するOECDノートに期待する。我々は、CBDCや即時送金システムによって促進されるものも含む、国内決済システムの国境を越えた統合のマクロ金融への影響に関する継続的な議論を歓迎する。
金融セクターの課題及び金融包摂

27.我々は、合意された国際基準及び政策協調に基づく、開かれた、強靱で、包摂的で、安定した金融システムを促進するとのコミットメントを共有する。我々は、金融システムの脆弱性に対処するとのコミットメントを再確認する。我々は、国際金融規制改革の適時の実施に強くコミットし、銀行にとっての強固なプルーデンス基準の重要性及びバーゼルIII枠組みの全ての要素を完全かつ整合的な形で、かつ可能な限り早期に実施するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、ノンバンク金融仲介(NBFI)において進展しつつある動向を監視しつつ、システミックな観点からNBFIの強靱性を引き続き向上させていく。この文脈において、我々は、オープンエンド型ファンドにおける流動性ミスマッチがもたらす脆弱性への対応にかかる金融安定理事会(FSB)の改訂された政策勧告の実施を支持する。我々は、NBFIの強靱性の強化に関するFSBの年次進捗報告書を歓迎し、FSBが証拠金の備えに関する政策を最終化することを奨励し、NBFIにおけるレバレッジに対処するための強固な政策勧告を含む市中協議報告書に期待する。我々は、2023年銀行セクターの混乱から得られる教訓に対処するための、FSB及び基準設定主体(SSBs)の取組を歓迎する。我々は、サステナブル・ファイナンスの課題の革新的な解決策を促進するであろう、国際決済銀行(BIS)イノベーションハブとの共同イニシアティブであるG20TechSprint2024の立上げを歓迎する。我々は、自然関連金融リスクの特定及び評価に関連する、金融当局の規制監督上のイニシアティブ及び課題に関するFSBのストックテイクを歓迎する。我々は、一貫性のある、比較可能な気候関連財務情報開示の実現に関するFSBの進捗報告書に期待する。我々は、G20データギャップイニシアティブの第3フェーズ(DGI―3)を推進する取組を支持する。

28.我々は、デジタル・イノベーションがもたらし得るリスクも軽減しつつ、その恩恵を活用することができる。我々は、引き続き警戒し、暗号資産がもたらす脆弱性及びリスクを注意深く監視し続ける。我々は、G20法域を超えた実施を含む、暗号資産に関するG20ロードマップの実施に向けた、世界銀行、金融活動作業部会(FATF)及びそのグローバルネットワーク、並びにSSBsとの協働による、IMF及びFSBの共同の取組を認識する。我々は、暗号資産の活動及び市場並びにグローバル・ステーブルコイン双方の規制・監督・監視に関するFSBのハイレベル勧告を、実効的に、適時に、かつ調和された方法で実施するとのコミットメントを再確認する。我々は、暗号資産に関するG20ロードマップの実施に関する最初の状況報告書を受領することを期待する。我々は、暗号資産及び暗号資産交換業者に関するFATF基準のグローバルな実施を加速させ、DeFi及び個人間で行われる取引(P2P取引)を含む、新たな技術及びそれらから生じる関連するリスクの金融の健全性への影響を監視するためのFATFの作業に対する我々の支持を再確認する。我々は、資産のトークン化、及び、特定されたリスクに対処するために取り得る次のステップを含む人工知能の、金融安定上の影響に関するFSBの報告書を期待する。我々はまた、マネー及びその他の資産の文脈の中でのトークン化の意味と、現行の通貨及び金融システムの最善の特性に基づくトークン化の環境をどのように構想するかを検討する、BISとBIS決済・市場インフラ委員会(CPMI)による報告書に期待する。

29.我々は、クロスボーダー送金の改善に向けたG20ロードマップの適時かつ実効的な実施へのコミットメントを再確認し、ロードマップ及び定量目標に対する進捗に関するFSBの進捗報告書を期待する。我々は、更なる規制上の整合性が、ロードマップの成功裏な実施への鍵であることを強調する。我々は、即時決済システムのインターリンクのガバナンス及びオーバーサイトについてのBIS・CPMI最終報告書や、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(APIs)の更なる調和に関する勧告についてのBIS・CPMI報告書に期待する。我々は、また、クロスボーダー送金プラットフォームのマクロ金融への影響に関するIMFのレポートにも期待する。我々は、クロスボーダー送金の透明性向上に関するFATF 基準の改訂のための進行中の作業及び、リスクベース・アプローチに関するアップデートを含む、金融の健全性とともに金融包摂を可能にするためのイニシアティブを歓迎する。

30.我々は、2023年金融包摂行動計画(FIAP)の実施における、金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)に関する進展を歓迎し、2024年のために計画されている成果物を完了させることを期待する。我々は、金融上のウェルビーイングを向上させ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成する上での金融包摂の重要な役割を認識する。我々は、作業中の定義及び暫定的な概念上の枠組を含む、金融上のウェルビーイングのコンセンサス概念の確立に関する進捗に留意する。我々は、「デジタル公共インフラ(DPI)を含むデジタルインフラ、消費者保護、及びその他のFIAPの目的を通じた、最後の1マイルアクセス及び質の包摂の向上のための政策オプションに関するガイダンスノート」に関する討議に留意する。我々はまた、中小零細企業(MSME)金融のための新たなG20GPFI行動計画に関する進展に留意する。最後に、我々は、送金のデジタル化を通じた金融包摂の促進に関する報告書を歓迎する。

31.我々は、マネーロンダリング・テロ資金供与・拡散金融と闘うためのFATF基準の実施に係るグローバルな取組を強化することの重要性及びグローバルネットワークに渡るFATF基準の実施を監視することにおけるFATFとFATF型地域体を支援するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、犯罪者が犯罪収益を隠匿し、不正な活動に関与できないことを確実にし、犯罪収益の返還を促進するため、法人及び法的取極めの実質的支配者の透明性並びに財産回復及び国際協力に関する改訂されたFATF基準を効果的に実施することにコミットする。
国際租税協力

32.我々は、OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」における2本の柱の解決策に関する進展を歓迎し、包摂的枠組みの2021年10月の声明と、すべての関心を持つ法域による2本の柱の解決策の迅速な実施に対する我々のコミットメントを改めて表明する。我々はまた、第2の柱の実施に向け、引き続き大幅な進展があることを歓迎し、共通アプローチとしてGloBEルールを実施する国同士の協調を確保するための現在進行中の作業を引き続き支援する。これは、国際租税協力のめざましい成功とみなされるべきである。可能な限り早期に多数国間条約(MLC)の最終化と署名開放を可能にするため、我々は包摂的枠組み加盟国・地域に、利益Bの枠組みに関する残る論点を解決することを通じ、第1の柱に関する最終パッケージの交渉を迅速に妥結することを奨励する。

33.我々は、21世紀にふさわしい、より公正で安定的かつ効率的な国際課税制度を目指し、引き続き協力する。この文脈において、我々は、「国際租税協力に関するG20閣僚リオデジャネイロ宣言」を発表し、税の透明性への我々のコミットメントを再確認し、超富裕層の個人を対象に含む公正かつ累進的な課税その他の課題に関する対話を促進する。我々の国際租税協力は、既存の国際フォーラム間の相乗効果を最大化すべきである。我々は、G20議長国ブラジルにより委託された以下の文書:「歳入動員のための代替策」に関するIMFによるG20ノート、「超富裕層に対する協調した効果的な最低課税基準」のためのブループリント、及びG20財務大臣・中央銀行総裁に向けた「租税と格差」に関するOECDの報告書に留意する。我々は、国際租税協力に関する国連枠組条約のための基本的事項を策定するための国連臨時委員会において、建設的な議論を奨励する。
国際経済協力への参加の拡大と我々のコミットメントの更新

34.経済・金融の問題に対処する上で、市民社会とエンゲージメント・グループが果たす建設的な役割を認識し、我々は、財務大臣・中央銀行総裁代理級の会合において提示された作業について、エンゲージメント・グループに感謝する。我々は、G20のワーク・ストリームの文脈において、それらを検証する。

35.我々は、地球規模課題に対処するための国際経済協力の強化に対するコミットメントを再確認し、10月に開催される第4回財務大臣・中央銀行総裁会議で対話を継続することを期待する。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/07/27-12:10)

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