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〔財金レーダー〕株価乱高下、「貯蓄から投資」冷や水=金融教育機構など始動の矢先

記事提供元=時事通信社
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時事通信

 日経平均株価の乱高下が続いている。今年は1月に新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしたほか、金融経済教育推進機構(J―FLEC)の設立や金融・資産運用特区の指定など、岸田政権が掲げた「資産所得倍増」と「資産運用立国」の推進に向けた重要施策も始動。まさにその矢先を襲った株安に動揺を隠せない投資初心者も多く、政府が目指す「貯蓄から投資」への取り組みは早速、冷や水を浴びせられた格好だ。

◇史上最大の暴落

 日経平均株価は年初から上昇傾向が続き、7月11日には終値で4万2224円と史上最高値をつけた。ところが、その後は米国経済の不透明感の高まりや円相場の上昇を受け、下落基調に転じる。8月5日には終値で前週末比4451円安の3万1458円と、1987年の「ブラックマンデー」の翌日の下げ幅を上回る史上最大の暴落を演じた。

 その後、6日には一転して大幅反発し、前日比3217円高と史上最大の上げ幅を記録。足元では3万8000円前後まで戻しているが、振れの大きい状況はなお続いている。

 東京証券取引所が発表した5~9日の投資部門別株式売買状況では、個人投資家は553億円の売り越し。大幅な相場の変動に翻弄(ほんろう)され、慌てふためいた向きも多かったようだ。

 年初からの株高の追い風となっていたのが、投資可能額を大幅に引き上げた新NISA。日本証券業協会が6月に公表した2024年3月末時点のNISA口座数は約2323万口座で、23年3月末時点から約449万口座増加。24年1~3月の買い付け額は6兆1791億円に上り、前年同期と比べ4倍に拡大した。政府が国民の資産形成を後押しする中、投資家の裾野は広がってきていた。

 自民党金融調査会に所属するある議員は、株安について「こういうことがあると(新NISAで高まった国民の投資)マインドを冷え込ませる」と気をもむ。

◇嵐の中の船出

 政府・日銀と業界団体は4月に金融経済教育推進機構を設立。国民の金融リテラシーの向上を目指し、8月から本格稼働することとなっていた。2日には中立的な立場で助言を行う機構の認定アドバイザーによる電話相談が始まっており、歴史的な大暴落という嵐の中の船出となった。

 機構の職員によると、暴落を受けて相談窓口には「株を売ってしまった方がいいか、持ち続けた方がいいか」といった相談が寄せられたという。この職員は「金融経済教育を進め、長期・積み立て・分散投資の重要性を普及させるしかない」と話す。

 金融庁幹部は新NISAや金融教育機構の取り組みが始まった矢先の乱高下に「どうしても国民の投資に向けた意欲の低下は心配になる」とため息をつく。海外からの投資を呼び込むための金融・資産運用特区も6月に4地域が指定され、取り組みが動きだすのはこれからだ。資産運用立国などの旗を振った岸田文雄首相の突然の退陣表明で今後の政策の行方も見えづらくなっており、別の幹部は「『貯蓄から投資』の実現に向け、できることを一つひとつやっていくのみだ」と話した。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/08/22-14:15)

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