深キョン『ルパンの娘』お色気に要注目!脚本家と俳優、局プロデューサーの微妙なバランス
『相棒』の脚本家が複数いても“大丈夫”なワケ
こんなふうに、数人で担当することが多い「演出」に対して、「脚本」は、だいたいドラマ全編通してひとりの脚本家が担当することが多いです。まあ脚本ってその作品の根幹にあるものですから、当たり前といえば当たり前ですよね。
でも、途中で脚本家が変更になるドラマもたまにあります。そういったケースって、書いているうちにプロデューサーと方向性などで揉めて脚本家が降板したり、あるいは視聴率が振るわなくて局側からのテコ入れが入ったり、といったケースが考えられますかね……。“箱書き”っていうんですけど、シーンごとに要点をまとめたプロットのようなものが作られていれば、ほかの脚本家さんに変わることも、まあ可能ではありますからね。そういうことって結構大きなドラマでも行われていて、最近だと、この4月クールの福山雅治さん主演の『集団左遷!!』でも、途中で脚本家の方が変わっていましたね。
それとは別に、『特捜9』(テレビ朝日系)シリーズや『相棒』(テレビ朝日系)シリーズなど、もともと複数の脚本家がラインナップされているドラマもあります。『相棒』は、この作品の“生みの親”ともいわれる輿水泰弘さんをはじめ、櫻井武晴さん(テレビ朝日系『科捜研の女』など多くの作品を執筆)、若くして亡くなられた砂本量さん(TBS系『ネバーランド』など多くの作品を執筆)、そして今や超売れっ子脚本家となった古沢良太さん(テレビ東京系『鈴木先生』、フジテレビ系『コンフィデンスマンJP』など多くの作品を執筆)など、これまで実に多くの脚本家が執筆していることも知られていますよね。
こういう、キャラクターと設定という“箱”がバッチリ出来上がっているドラマは、あとはそこに入れる事件と味付けを変えていくだけなので、複数の脚本家がいても、あまり内容がブレないんです。
そういうドラマや、あとは原作モノのドラマなんかは脚本家が変わっても大丈夫なんだけど、難しいのは完全オリジナルのドラマ。たとえば、坂元裕二さん(日本テレビ系『Mother』『Woman』など多くの問題作を執筆)が書くようなドラマって、坂元さんの頭の中にしかないし、坂元さんにしか書けないセリフがあるし、プロデューサーと話し合いながら作っていくにしたって、まず坂元さん以外の人には書けないんですよね…。
こんなふうに、テレビにはほとんど一瞬しか映らないドラマのスタッフクレジットひとつにも、背景にはいろんな事情が隠されているんですよね。
(構成=白井月子)