ビジネスジャーナル > エンタメニュース > 『貴族探偵』、透ける制作陣のドヤ顔
NEW

相葉雅紀『貴族探偵』…2桁発進も、にじみ出る制作陣のドヤ顔に視聴者しらけ気味

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
【この記事のキーワード】, ,
相葉雅紀『貴族探偵』…2桁発進も、にじみ出る制作陣のドヤ顔に視聴者しらけ気味の画像1『貴族探偵』公式サイトより

 嵐の相葉雅紀が主演する月9ドラマ『貴族探偵』の第1話が17日に放送され、平均視聴率が11.8%(関東地区平均、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。麻耶雄嵩氏の小説を原作とした今作は、自らは一切推理をせず、使用人に謎解きを任せる謎の自称「貴族」の活躍を描くドラマ。貴族という現代日本に実在しない存在が中心になるだけに、放送前から「相葉雅紀は貴族に見えない」と大コケを心配する声は多く、私もその1人だった。だが、実際に視聴してみて、その思いは変わった。とは言っても、相葉が案外良かったというのではない。「なんとも反応に困るドラマだなあ」というのが率直な感想だ。

 その最たるものは、ドラマの最後に流れた「このドラマはフィクションです。ありえないことがいっぱいのファンタジードラマですので、適度にツッコミながらお楽しみください」の文字。制作陣のドヤ顔が垣間見えるような、こういう開き直りが悪いとは思わない。だが、残念ながら『貴族探偵』は、そこまでツッコミながら楽しめるドラマに仕上がっていないのだ。いわゆるネタドラマ路線に吹っ切れているわけでもなく、推理を楽しむ本格ミステリーでもない。

 生瀬勝久演じる刑事がスマートフォンの人工知能を知らないというネタも、女性鑑識(田中道子)がやたらと偉そうなのも、メイド(中山美穂)の描く絵がヘタクソなのも、どれもこれも無理におもしろくしようとしてすべっている。そこまでおもしろいことをやっていないのに、最後に「オレたちおもしろいでしょ?」とドヤ顔を見せつけられても、視聴者はしらけるばかりである。

「相葉が貴族に見えるか見えないか問題」については、貴族が現実に存在しない以上、なんとも言い難い。間違いなくいえるのは、決して風格はないということ。ただ、「金持ちの家で何不自由なく暮らしてきた薄っぺらで能天気なボンボンが安いコスプレをしている」ようには見える。それが貴族というものだとしたら、相葉にとってこの役は案外悪くないのかもしれない。

 だが、演技はやはりひどい。なんとか気持ちを込めて台本を読もうとしたという努力の跡はうかがえるが、その程度でしかない。主役が周囲の役者の演技を受け止めないものだから、特にライバル役の武井咲は演技が1人だけ空回りしているように見えてしまう。武井も決して演技力で注目されている女優ではないが、主役が軽いとこうもドラマが締まらないものかと絶望的になる。そんな浮わついた世界観の中で、いつも通りの重厚な存在感を発揮していた松重豊はさすがといえよう。

カタルシスなきドラマ

 地道に捜査や推理をする女探偵・高徳愛香(武井)が報われず、使用人に任せきりでチャラチャラ遊んでいる貴族探偵が真実にたどり着くという筋立ては、視聴者にとってはあまり心地よくはない。ドラマが基本的に愛香の視点で進むこともあり、視聴者は自然と彼女を応援してしまうからだ。遊んでいるだけの貴族探偵なんかより、自分の力でがんばる人に報われてほしいと思うのは当然だろう。だが、このドラマはそれを拒否する。

 ただ、これは原作通りなのだという。『貴族探偵』の原作は、「探偵は何をもって探偵と言えるのか」を読者に突き付けるとともに、一切のカタルシスを与えてくれない挑戦的な小説と評されている。だとしたら我々は毎週、懸命に推理した女探偵が報われず、「アバンチュール」とやらを楽しんでいる貴族探偵が誇らしげにほほ笑むのを見ることになるのか。それもありかとは思うが、それだけではフラストレーションが溜まっていきそうだ。愛香の師匠であり、すでに亡くなっている喜多見切子(井川遥)と貴族探偵の因縁話がどこまでふくらむか、今後の展開に期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

相葉雅紀『貴族探偵』…2桁発進も、にじみ出る制作陣のドヤ顔に視聴者しらけ気味のページです。ビジネスジャーナルは、エンタメ、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

関連記事