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好発進『カンナさーん!』が迫る、浮気&離婚をめぐるエゲツない正論と葛藤

文=美神サチコ/コラムニスト
1707_kanna550.jpg『カンナさーん!』公式サイトより

 渡辺直美が初めてゴールデンプライム帯の主演に抜擢された連続テレビドラマ『カンナさーん!』(TBS系)が、7月18日に放送された初回は平均視聴率12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。数字とは裏腹に、本業はお笑いタレントである渡辺の演技を中心に批判も多いものの、評価されるべき点は確かにあった。

 同ドラマで渡辺は、何事にも全力で立ち向かおうとする主人公・河東カンナを熱演。カンナはイケメンな夫・礼(要潤)との間に授かった甘えん坊の息子・麗音(川原瑛都)の子育てをしながら、ファッションデザイナーの仕事も両立させるパワフルな女性だ。

 ところが、麗音の誕生日に礼の浮気が発覚し、話し合いの場では礼から「今回のことは浮気じゃない。本気だ」と告げられてしまう。カンナは傷つき、悩むが、第1話の最後には礼に向かって「私は麗音と2人で幸せになるから……。私と離婚してください」と告げたのだった。

 放送前はコミカルな要素が強いのかと思い込んでいたが、実際に見たところ、内容的には“浮気”や“離婚”、そして“シングルマザーの葛藤”を的確に描いている。細かい部分に現実味があるかどうかは別として、なかなかわかりやすい問題提起だと関心した。

 まず、カンナが礼の浮気を知った翌日、職場の仲間に相談していたシーン。カンナは“許せない”という感情を露わにしていたが、上司・美香(山口紗弥加)は「レオ(麗音の愛称)くんのこともあるんだしね、ここはカンナが100歩譲って、大人の選択をするべきなんじゃないの?」と発言。つまり、“夫の浮気を許し、離婚はしない”ことを勧めていた。

 これって正論ではあるけれど、「じゃあ浮気された側の気持ちはどうなるの?」と思わずにはいられない。しかし、正論であるがゆえに、浮気相談の場では必ずどこからか湧いてくる意見といえる。

 また、礼の母・柳子(斉藤由貴)は、話し合いの場で何度も口出ししてきて、「悪いのはお互い様ってとこ、ない?」と、自分の息子が不貞を働いたというのに“妻にも非があった可能性”を示唆。さらに、「離婚なんかしたらレオちゃん可哀想じゃない! あなたは逆立ちしたってパパの代わりにはなれないんだから」とまで言ってのけた。

 それもまた一理ある意見で、確かに母親は父親にはなれないかもしれない。逆も然りで、男女のどちらかがパートナーに浮気され、周囲に離婚の相談をすれば、必ず誰かしらから「子どものために」とか「パパ(もしくはママ)がいないなんて子どもが可哀想」と言われてしまう。浮気された人だって、子どものことを考えていないことなどないだろうに、周囲の声と自分の気持ちの葛藤に揺れる。

 そんな、“ムカつくけど確実に言われるであろう言葉”をリアルに盛り込んだ初回に対し、私は「見る価値がある」と感じた。実際に同じ経験をした人には、カンナがそうした葛藤を経て成長する姿に共感できるのではないか。また、今まさに離婚を考えていながら悩んでいる人にとっても、参考になる部分は多いと思う。

 そして、渡辺が主演じゃなければ、もっと暗いドラマになっていたはずだ。見るからに明るいカンナに安心して、第2話を楽しみに待ちたい。
(文=美神サチコ/コラムニスト)

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