小出恵介のゴシップでついた悪印象をロンダリング
とはいえ今回のリメイク版では、姫川玲子シリーズ第6作の長編小説『ブルーマーダー』が初映像化されることが公式発表されている。原作ファンならずとも、これからの巻き返しに期待したくなるところだが……。
「低迷が続くフジテレビにおいて、『踊る大捜査線』や『ガリレオ』に続く“刑事モノ”をヒットさせるというのは悲願ともいえるミッションなんです。とはいえ、なかなかいい刑事モノに恵まれず、ゆえに今回のリメイク案が浮上した。しかしここまで不評となると、局内ですら『やらないほうがよかった』という声が上がっているようです。
また、凄惨な事件がたくさん出てきて、その残虐性をしっかり描くのがこの原作小説の魅力のひとつだと思うのですが、“コンプライアンス”を強く求められる昨今、なかなかそこまでリアルには描けないという制約もあります。どうせなら、キリよく『オリジナルから10年』と謳える来年にすれば、まだよかったのではないでしょうか」(前出のプロデューサー)
また、低迷が続くフジテレビを象徴するかのような、こんな側面も。ある芸能関係者は次のように明かす。
「オリジナル版は小出恵介が捜査班のひとりとして出演していて、2013年のスペシャル短編では主演も務めています。小出といえば、2017年の未成年との飲酒および不適切な関係を持ったことによる不祥事がありましたが、事務所は実質的にクビ、その後は不起訴処分にもなっているため、厳密には再放送をしても問題はないはず。しかし、今のフジテレビにそれをやる勇気はないでしょう。元所属事務所であるアミューズとの関係もあるし、今のご時世、未成年相手の不祥事を起こしたようなタレントが出演しているドラマを何事もなかったかのように再放送なんてしようもんなら、SNSで炎上しまくりますからね。ましてや、この作品で小出が刑事役、となればお蔵入り確定ですよね。とはいえ、原作は累計400万部超えの人気小説ですから、このまま眠らせておくのももったいない。今回のリメイクは、小出によってケチがついた人気ドラマシリーズをロンダリングする、という意味合いもあったと思います」
主演女優が若返ってもフジテレビがどうしてもリメイクしたかった理由――。それは、役者の不祥事によって泥を塗られた「フジテレビが誇る人気刑事モノ」という金看板を、こっそり“浄化”させるためだったのかもしれない。
(文=藤原三星)藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara>