モバイルに特化した調査研究機関であるMMD研究所が、スマホを所有する15~59歳の男女562人を対象に実施した調査では、「自分はスマートフォンに依存していると思いますか」との質問に「かなり依存している」「やや依存している」と答えた人の割合が、合わせて8割を超えている。
特に20代は「かなり依存している」人の割合が突出して多く、若い世代を中心にスマホ依存が進行していることがわかる。
その一方で、IT依存症を防ぐために、デジタル機器から一定期間離れる取り組みをする「デジタルデトックス」について説明した上で、「デジタルデトックスが自分に必要だと思いますか」との質問に対しては、約半数が「必要だと思わない」と回答した。
つまり、「スマホに依存していると自覚はしているが、脱却する必要はない」と考えている人が多いことがわかる。
おそらく、スマホ依存がもたらす悪影響について深刻に考える機会がないことが、最も大きな要因だと思われる。
スマホ依存は世界的な傾向であり、特に先進国では懸念が高まっている。例えば、スマホが気になりすぎて、リアルなコミュニケーションを阻害する現象を指す「Phubbing(ファビング)」という新しい英語も生まれ、米国内で広まっている。
スマホ依存による弊害として、歩きスマホによる事故誘発、運転中のスマホ操作による事故などが懸念されるほか、ブルーライトの影響による睡眠障害、長時間同じ姿勢で使い続けることによって肩こりや頭痛、血行不良、ストレートネックなどの健康被害も指摘されている。毎日長時間決まった持ち方をすることで、小指が変形する「テキストサム損傷」という症状も最近は話題になっている。
また依存がひどくなると、うつ病を患う可能性も高まるとの調査報告もあり、今後さらにさまざまな悪影響が挙げられるようになると思われる。
スマホ依存症の原因としては、常に最新のニュースを入手したい、SNSでリアルタイムに友人とやりとりしたい、ゲームや動画が気になるといったことがあるだろう。
人とのコミュニケーションを補完するためのSNSが、かえってコミュニケーションを阻害したりスマホ依存を促進するのは、なんとも皮肉な事態としかいいようがない。
スマホ所有者のおよそ5割はモバイルバッテリーを所有しており、さらにその半数は常に携帯しているといいます。
スマホのバッテリーは従来型の携帯電話に比べて消費が速いとはいえ、常にバッテリーを持ち歩かなければならないほどスマホを高頻度で使用している人は、スマホ依存の危険が高いといえるだろう。もちろん、仕事でスマホを使用している人など、モバイルバッテリーや充電器を携行しなければならないケースもあるだろうが、SNSやゲームなどの使用でしょっちゅう充電切れしてしまっている人は、スマホとの付き合い方を見直してはいかがだろうか。
(文=編集部)