ノンアルビールで太らないのはどっち?トクホと機能性表示食品、どれを買うべき?
トクホだから効果が高いとは限らない
では、消費者はどちらの製品を選んだらよいのでしょうか。トクホは、消費者庁が一定の効果を認めたものですので、それだけ信頼度は高いといえますが、一般に値段は高めです。消費者としては、どんな成分がどの程度含まれているのかを見て、製品を選ぶ必要があるでしょう。
例えば、前出のノンアルコールビールでは、サッポロプラスはトクホですので値段が高めです。しかし、効果はおそらくパーフェクトフリーのほうが高いと考えられます。なぜなら、効果を期待できる成分が多く含まれているからです。
この2つの製品には、難消化性デキストリンという食物繊維が含まれています。この成分は、これまでの研究で脂肪の吸収を抑制することや糖の吸収を遅くすることがわかっています。そのため、これを一定量含んでいれば、トクホとして比較的容易に許可を得られます。また、機能性表示食品としても販売が可能です。
サッポロプラスには、一缶に難消化性デキストリンが4g含まれています。一方、パーフェクトフリーの場合、一缶に5g含まれています。当然ながら量が多いほうが効果も高いので、後者のほうが脂肪や糖の吸収を抑制することができると考えられます。このように、トクホのほうが機能性表示食品よりも必ずしも効果が高いとはいえないのです。なお、難消化デキストリンは、摂りすぎると下痢を起こすことがあるので注意してください。
6月には、前出のノンアルコールビール以外にも「脂肪の吸収を抑える/糖の吸収をおだやかにする/おなかの調子を整える」という「食事の生茶」(キリンビバレッジ)が発売されており、一本(500ml)当たり難消化性デキストリンが5g含まれています。難消化性デキストリンには、おなかの調子を整える働きもあるため、このように3つの機能をうたっているのです。
難消化性デキストリンのように、特定の機能がはっきりわかっているものは、ほかに食物繊維のポリデキストロース(おなかの調子を整える)、大豆オリゴ糖やフラクトオリゴ糖といったオリゴ糖類(腸内環境を良好に保ち、おなかの調子を整える)などがあります。今後は、これらの成分を含む飲料などが機能性表示食品として発売されることが予想できますが、それらについては、一定の効果があると考えてよいでしょう。
7月8日現在、消費者庁に届け出され、受理された機能性表示食品は、前出の商品も含めて51品目あり、同庁のホームページで公開されています。ただし、それらの中には、本当に効果があるのか疑問を抱かざるを得ないものもあります。各製品には、機能性に関する説明が書かれており、また機能性を示す成分やその含有量も表示されていますので、それらをよく見て、十分に納得できるものを買うようにしましょう。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)