『ゼロから理解する 水の基本:水の安全と環境、ビジネス最前線まで(すぐわかるすごくわかる!)』(誠文堂新光社/千賀裕太郎監修)には、以下のようなデータが載っている。(それぞれ10立方メートル当たり)
【水道料金の高い市町村トップ5】
1位 群馬県長野原町 3413円
2位 北海道羅臼町 3360円
3位 北海道池田町 3121円
4位 北海道増毛町 3060円
5位 熊本県上天草市 3045円
【水道料金の安い市町村トップ5】
1位 山梨県富士河口湖町 335円
2位 兵庫県赤穂市 357円
3位 静岡県小山町 363円
4位 静岡県沼津市 460円
5位 東京都昭島市 504円
最も高い群馬県長野原町と、最も安い山梨県富士河口湖町を比べると、その差は約10倍だ。また、「高い市町村」に北海道の自治体が3つもランクインしていることからわかるように、「自然豊かな地域=水道料金が安い」というわけではない。
人口が少ない地域は水道料金が高くなりやすい
『ゼロから理解する 水の基本』によると、「水源の水質が悪い地域であれば、そのぶん高度な浄水処理施設が必要になるし、給水人口が少ない地域であれば、設備投資や水道管の維持などにかかる1人当たりのコストが割高になる」という。
つまり、良質な水源の有無にかかわらず、人口が少ない地域は水道料金が割高になりやすいということだ。東京都など、排水が多く、浄化機能に膨大なコストがかかるであろう都市部が「高い市町村」にランクインしていないのは、人口の多さが理由だろう。
また、森林は「天然の浄水場」とも呼ばれるように、雨水などの汚れを取り除く機能があるが、東京は約2万3000ヘクタールの森林を「水道水源林」として管理している。コストをかけて広大な森林を保持することで、安定的に良質な水道水を供給しているのだ。
浄水場の処理方法も地域によって異なる
人口が少ない地域は水道料金が高くなる傾向にあるということがわかったが、「人口が多い地域=水道料金が安い」というわけではないようだ。「水道料金の安い市町村」にランクインしているのは、人口の多い大都市とはいえない。水道料金の安さは、やはり水質によるところが大きいようだ。