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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

「健康な女児はさっさと風疹に感染させるべき」は暴論なのか?悲惨な妊婦の罹患を防ぐ

文=新見正則/医学博士、医師

 つまり、ワクチンの接種で永続的で強力な免疫を維持できない現状では、国内で一生懸命に国民全員に風疹ワクチンを打っても限界があります。もっとも大切なことは、妊娠可能年令すべての女性が強力な風疹抗体価を持つことです。

 そのための作戦は、(1)女児はさっさと風疹に罹患する、(2)妊娠可能年令の女性は全員、妊娠していない時にワクチンを定期的に接種する、(3)妊娠可能年令の女性は風疹の抗体価を調べて、抗体価が低い人はワクチンを接種するといった作戦です(複数選択可)。

 風疹が普通に流行していれば、多くの女性は風疹に罹患した経験を持ち、その後のブースター効果で高い抗体価を維持できると思います。もちろん自分の子供を風疹に罹患させたくないという保護者の意見を否定するのではありません。そう思えばワクチンを打てば良いのです。しかし、一方で「風疹は子供のうちにさっさと罹っておこう」と思う親の意見も大切にしてもらいたいと思うのです。

 先天性風疹症候群を撲滅する作戦で肝要なことは、すべての妊婦が風疹に対する高い抗体価を持つことです。そして各人が「自分の風疹抗体価はいくつ」という意識を持つことです。ワクチンはその手段です。ワクチンを打っても、抗体価が少ない妊婦がいれば失敗です。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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