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愛子さまの激やせは「摂食障害」なのか? 「心の病」である「拒食症/過食症」患者は全世界に約7000万人

文=ヘルスプレス編集部
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愛子さまの激やせは「摂食障害」なのか? 「心の病」である「拒食症/過食症」患者は全世界に約7000万人の画像1摂食障害による激やせは心停止による突然死に至るリスクが(depositphotos.com)

 去る2月17日、皇太子さまが57才の誕生日(2月23日)を迎えられるのに先立って、ご一家の写真がメディアに公開されたが、ここで注目を集めたのが、依然“激やせ”状態の愛子さまの姿だった。

 昨年、体調不良により約1カ月半学校を欠席されたうえ、公表された報道写真から「摂食障害による激やせではないか」と懸念する声が上がったのは、まだ記憶に新しいところ。

 精神科医の片田珠美氏によると、体重が30kgを切ると栄養失調に陥り免疫力が低下するため病気にかかりやすく、心停止による突然死に至るリスクが一気に高まる。摂食障害は精神疾患のなかでも死亡率が高く、約10%を占めるという(2016年12月11日NEWSポストセブン)。

 今回は神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)の恐怖を探ってみよう。

宮沢りえも中森明菜も悩まされた拒食症の恐怖!

 摂食障害に苦しんだ痩せ美人といえば、不倫破局で拒食症に追い込まれた女優の宮沢りえさん、失恋スキャンダルに巻き込まれた歌手の中森明菜さん、非業の死を遂げたダイアナ元妃、「イエスタデー・ワンスモア」で有名なカーペンターズのカレン・カーペンターさん、元フィギュアスケーターの鈴木明子さんも思い出される。

 宮沢りえさんは22歳の時だった。一部の報道によると、故・中村勘三郎さんとの不倫破局をきっかけに拒食症になったといわれている。不眠、精神不安、アルコール依存、生理不順。流動食しか受けつけない。体重はおよそ30kgに激減。骨の浮き出た悲惨な姿を見せた。体が勝手に動くチック症の症状や、食べ物に虫が這う幻視もあったらしい。想像するだけで恐ろしい。

 中森明菜さんの場合は、交際していた近藤真彦さんに別の女性との噂が出たことから、1989年7月11日、手首を切って自殺未遂。恋愛は破局し、拒食症になったといわれている。2010年からも体調不良を訴え、活動を4年間休止した。

 その一方で、摂食障害を患ったダイアナ元妃は、克服後に支援団体の集会で体験談を話し、患者を励ました。ちなみに英王室では、キャサリン妃も拒食症でないかと取り沙汰されている。

 1983年に亡くなったカレン・カーペンターさん(享年32)は、現実と虚像のギャップに悩み続ける。痩せれば兄や母に褒めてもらえるという承認欲求が募る。やがてダイエットサラダだけの食事になり、体重は30㎏台にダウン。摂食障害による心臓麻痺が死を早めた。

 鈴木明子さんは大学1年の頃に発症。体重は48kg から32kgまで急降下。見られるスポーツだから体型を意識し過ぎたらしい。母からの「できて当然!」という無言のプレッシャーも引き金になったという。

食べられないのも、食べ過ぎるのも、過酷なリスクを抱えている

 あらゆる病気は、セルフコントロールが利かなくなった時に起きる。食べられなくなるのも、食べ過ぎるのも同じだ。アメリカ精神医学会の基準によれば、体重が標準体重の85%あるかどうかによって、摂食障害は神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)に分けられる。

 拒食症は以下のように分類される。

▶制限型:食べないで痩せる過食を伴わない拒食症
▶むちゃ食い/排泄型:過食嘔吐・下剤乱用を伴う拒食症

 一方、過食症は以下のように分類される。

▶排泄型:過食嘔吐・下剤乱用を伴う過食症
▶非排泄型:過食嘔吐・下剤乱用を伴わない過食症

 その他、拒食症や過食症の診断基準をすべて満たさない特定不能の摂食障害もある。

 たとえば――、過食に罪悪感を抱いてむちゃ食いする人、体重は標準体重未満だが生理のある人、週に2回以下の過食を長期間続けている人、過食はしないが、体重を減らそうとして嘔吐したり下剤を乱用する人、大量の食物を噛んでは飲み込まずに吐き出す行為(チューイング)を長期間続けている人など、摂食障害はグレーゾーンも多い。

 拒食の本質は体重増加恐怖症だ。体重を減らすという自分なりのルールが通用しなくなると、その不安を解消するために拒食に走る。食べなければ、体重は下がるので、努力が報われたという安心感と達成感に浸れるからだ。ただ、体重へのこだわりが自分を苦しめるので、恐怖症が深まり、その束縛感から逃れられなくなる。

 過食の本質はストレスへの過剰防衛だ。モヤモヤしたネガティブな感覚から逃げたくなると、過食に陥る。過食すれば、ストレスの発散、感覚の麻痺は起きるが、罪悪感や嫌悪感がさらに過酷な苦悩をもたらす。拒食も過食もジレンマの連鎖から逃れられないのだ。

うつ病や社交不安障害を招くリスクも高まる!

 このような摂食障害は、うつ病などの誘因となりやすい。うつ病は、食べるエネルギーが低下するので食欲は減退するが、食べることへの恐怖心が原因ではない。うつ病が重症化すると、過食症の人でも過食する気力がなくなるため、過食が治ったように感じる場合がある。だが、うつ病が治って食欲と気力が回復すれば、過食が再発する。

 また、楽しいことがあれば改善する非定型うつ病の場合は、食欲が増加してダラダラ食べたり、食べ過ぎたりするので、過食症とまぎらわしい。双極性障害(躁うつ病)の場合は、うつ病期に過食がひどくなり、躁状態の時に過食が抑制される時もある。さらに、摂食障害は、自分がどう思われるかの不安が強すぎる社交不安障害を招くリスクも高まる。

 摂食障害の患者は全世界に約7000万人いるとされるが、幸い摂食障害の治療は進んできた。過食症の対人関係療法と認知行動療法は、治療終了の6年後まで経過を追った研究でも効果が安定している。拒食症の治療は過食症ほど研究データが多くないものの、対人関係療法や認知行動療法が最良と考えられている。

 摂食障害は「心の病」だ。摂食障害を放置すれば、ますます悪循環に陥る。過食症なら自分を嫌う気持ちを少しでも和らげる。拒食症ならマイペースで進める確信を強くもつ。正しい知識と行動が伴えば、改善の道は開けるだろう。日本に摂食障害の専門家は少ないが、気になる人は信頼できる心療内科などを受診してほしい。
(文=ヘルスプレス編集部)

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ヘルスプレス編集部

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