このところ「トクホ(特定保健用食品)」に対する世間の風当たりが強くなっている――。
なんとなくいかがわしい臭いのする健康食品業界にあって、「トクホだけは別格だ」とする見方は、幅広くあった。その効果も安全性も品質も、内閣府消費者委員会がチェックして「お墨付き」を与えたものだからだ。
しかし昨年9月、初の許可取り消しとなったトクホ製品が出て、関係者は驚いた。日本サプリメント株式会社の「かつお節オリゴペプチド」などを原料とする6品が、「有効成分がほとんど含まれていない」という理由により販売中止となり、今年2月に景品表示法に基づく措置命令が消費者庁から出された。
「トクホ」に関する幾つかの問題点
まず、この事例で問題としなければならないのは、いったんもらった「お墨付き」は更新されることなく「永久保証」だったこと。誰も監視しなければズルをしてもバレないということ。その結果、2年前にすでに関与成分が入っていないことが判明しているにもかかわらず売り続けたことだ。
その一方で、なんらかの効果を謳うからには、その関与成分を特定しなければならない。先の商品では「糖の吸収をおだやかにする」のに関与する成分が、豆鼓エキスの中の「トリス」だとしていた。しかし今ごろになって、「トリスではなかった」というのは、なんともお粗末だ。許可の根拠となる科学データの真偽を見極めるのがいかに難しいか――。そのことを考えさせられる事例である。
「機能性表示食品」においても同様だが、謳う効果に関与する成分を、ひとつ特定しなければならない。エキスのような複合的なものでは、どれが効いているのかよくわからない、あるいはひとつだけでは効果がなく、複合的な作用で効果が見られるという場合も多い。
それを「単一成分で示せ」というのは、食品成分においてはかなり無理があり、その無理をなんとか通そうとすると、そこに「ごまかし」や「曲解」が生じる。この課題は放置されたままだ。