長谷部誠、欧州名門クラブがフロントとして争奪戦の様相…その稀有な能力とは?
「2018 FIFAワールドカップ(W杯) ロシア大会」をベスト16で終えた西野ジャパンも帰国し、チームは解散に向けて動いています。そのなかで、2010年南アフリカ大会から長く日本代表のキャプテンを務めた長谷部誠の代表引退宣言が、各方面から惜別の思いを集めています。
長谷部の評価はサッカー選手としてだけではない
長谷部は多くを備えた名選手ですが、実はドイツではそれ以上の評価も受けています。たとえば現所属のフランクフルトでは、現フロント陣の一角であるスポーツディレクターのブルーノ・ヒュブナー氏からは、引退後のフロント入りを望む声が上がっています。また、長谷部在籍時にブンデスリーガ優勝を達成したボルフスブルクも、同じくフロント陣として獲得することを狙っているとも報じられています。
サッカー球団におけるフロントとは、企業における幹部であり、クラブ経営者のひとりです。引退後は優秀な経営者のヘッドハンティングのように、「フロント長谷部」の争奪戦が起こりそうです。
社会人2、3年目相当で幹部候補として期待される
さらにすごいのは、古巣のボルフスブルク時代の長谷部はまだ20代半ばだったことです。日本企業で考えると入社2、3年目から幹部候補として期待されていたことになります。総営業収入は億ユーロ単位の名門チーム、日本でいえば大企業に相当する経済規模であり、そこで若い頃から高い評価を得てきたというのは異例のことといって良いでしょう。
経営には、競技としてのサッカーとは違う能力が必要です。サッカー選手として評価されるだけでは、長谷部のようにはなりません。私たちはサッカーでは長谷部のマネは絶対にできませんが、経営となると話は別です。弱冠20代にして幹部候補と目された長谷部は、特に私たちのような浅学・若輩な層にとっては参考になることでしょう。では、私達は長谷部の何を参考にすればよいのでしょうか。
成功する人は「頭がいい」より「メンタリティがいい」
長谷部は浦和レッズから入団の誘いがあるまでは、青山学院大学への進学を予定していたといわれています。少なくとも、一定レベルの知的パフォーマンスは備えていそうです。ただ、長谷部が評価される本当の理由はここではないと思われます。
心理学者でキャリア・コンサルティング指導者でもある私には、ロシアW杯で物議を醸したポーランド戦での長谷部の役割が象徴しているように思えます。結論からいうと、組織で評価され成功する心理学的な秘訣は、「頭がいいより、メンタリティがいい」です。長谷部はそれに該当します。