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関東、渇水で断水や給水制限の可能性も…雨不足でダムの貯水率低下

文=編集部、協力=及川藍/ウェザーマップ所属気象予報士
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関東、渇水で断水や給水制限の可能性も…雨不足でダムの貯水率低下の画像1「Gettyimages」より

 利根川水系のダム貯水率が下がってきていると報じられているが、今年の夏、関東地方が水不足に悩まされる可能性はあるのだろうか。気象情報提供会社ウェザーマップの気象予報士、及川藍氏に解説してもらった。

――現在のダムの貯水率低下は、注意すべきレベルなのか?

及川氏 7月27日現在、利根川水系の8ダムの貯水率は64%で、平年貯水量の74%程度とやや低くなっています。関東地方整備局によると、これは今後の雨の状況によっては厳しい状況だそうです。現在は、渡良瀬川と鬼怒川で10%の取水制限をしているそうです。

関東、渇水で断水や給水制限の可能性も…雨不足でダムの貯水率低下の画像2国土交通省 関東地方整備局より(赤線が今年)

――懸念される住民への影響は?

及川氏 今後の雨の状況によって、厳しい状況が続けば取水制限も検討されるそうです。関東地方では5月中旬からの雨の少ない日が続いていて、今月23日には、関東甲信地方に「長期間の高温と少雨に関する情報」が発表されています。

関東、渇水で断水や給水制限の可能性も…雨不足でダムの貯水率低下の画像3気象庁HPより 7月25日現在 60日間降水量の平年比

――給水制限や断水など、住民の生活に影響を与えるような行政的措置が取られる可能性は?

及川氏 10%の取水制限は、生活に支障はほとんどありませんが、20%から30%の取水制限になると、浄水場からの給水にも影響が出て、給水制限や断水など、供給にも影響が出る可能性もあるそうです。先週末は台風の影響で大雨に警戒が必要となり、大雨による災害は心配されましたが、台風による雨によって渇水状態が回復することも多いです。

 貯水率が回復するには、まず前線が停滞して雨が長期間続く、夏の夕立が毎日のようにあるなどが必要です。ただ、過去の例から、一気に解消へ向かうためには、短い期間に100ミリ~200ミリ以上の大雨が水源地帯にまんべんなく降ることが必要な条件となるそうです。このような大雨をもたらすものは主には台風で、多くの場合、貯水量を一気に5000万トン以上も回復させる力を持っています。

 過去に深刻な水不足となった1994年は、猛暑と少雨の影響で最大30%の取水制限が、7月22日から9月19日にかけて60日間行われました。このときは9月に入ってから雷雨などで徐々に持ち直し、9月29日に紀伊半島へ上陸して列島を北上した台風26号により、渇水状態は解消されました。

 また、96年は冬と夏の2回渇水があり、夏は最大で30%の取水制限が行われ、その期間は41日間でした。この年も、9月22日に関東沿岸を通過した台風17号により、渇水状態が解消されました。

 8月は晴れる日が多くなりそうですから、日ごろから節水を心がけましょう。大雨による災害は心配されますが、台風の動向によってダムの貯水率は左右されそうです。
(文=編集部、協力=及川藍/ウェザーマップ所属気象予報士)

関東、渇水で断水や給水制限の可能性も…雨不足でダムの貯水率低下の画像8及川藍氏/気象予報士 、ウェザーマップ所属

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