今回は通巻101号となります。2週間に一度というペースですが、続けて書いていくというのは、それなりにたいへんなことでもあります。その一方で、楽しくもあります。特に、読者の皆様からのご意見、ご感想などを頂くと、書き続けてきてよかったと思います。これからも、よろしくおつきあいください。101号目にあたり、気持ちも新たに読者の皆様方に、時間を使って読んでよかったと思っていただけるような文章を書いていく所存です。
さて、筆者がこの連載で書きたいと思っているのは、食事というものが私たちの人生や生命、健康にどんな影響を与えているのかということを考え、筆者なりに得た結論です。だからといって、筆者の言うことが絶対的で、ほかの意見は否定するというような姿勢はとりません。人間は常に新たな発見を求めており、それがなくなるということは向学心、向上心がなくなると同義で、それはまた自らの成長を止めるということにもなります。そうなってしまったら、私たち人類の存在そのものが不必要になることを意味すると思うのです。つまり、筆者の結論とは別の見方があった場合、それが論理的なものであれば、筆者は見解を変えることもやぶさかではないのです。
そんな私たち人類にとって、健康で人生をまっとうすることは共通の願いだと思います。これもまた例外があり、不健康なほうが都合がいいという人もいることは知っています。しかし、大方の人たちにとって健康であるというのは、何ものにも代えがたい財産だといってもいいのではないでしょうか。
私たち自身の健康を量る指標があるかどうかはわかりませんが、医療費の額は、そのひとつの目安にはなるでしょう。その医療費は、日本全体で年間42.3兆円も使われています。これは、どう考えても国民全体として健康な状態とはいえません。なにしろ、ひとりの国民が毎年33万円も使っていることになるのです。そしてこれは、医療機関を通じて上がってきた数字の集積で、ドラッグストアなどでの売薬の売り上げや、マッサージや鍼、カイロプラクティックや整体などの医業類似行為による売り上げも加算されていません。
その医療費のうち10兆円近くは、薬剤にかかるお金です。これは膨大な数字です。世界人口のおよそ1.6%を占めている日本人が、世界中の薬剤の30%ないしは40%以上消費しているという話もあります。詳細なデータはありませんが、日本人が薬好きで、実際に大量の薬を飲んでもいるというのは事実でしょう。
がんにならないための食事
日本は狭い国土なのに、農薬の使用量が世界でトップクラスなのですが、それと並んで、薬の使用量もトップクラスであることは間違いないようです。
薬のなかでも、圧倒的な金額を使っているのが「抗がん剤」です。日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人はがんで死亡するのが現実ですから、そのために使われる薬も一番多くなるのもうなずけます。抗がん剤は、未承認のものも含め、どんどん新しい薬が開発され、市場に出回っていきます。しかも、そのほとんどが高額です。いずれ、そういった薬でがんが完全に治療できる日が来るのかもしれませんが、そう簡単にはいかないようです。
現実問題として、抗がん剤で治療して一時的に腫瘍が縮小することはあっても、数カ月または、数年後に同じ部位、または違う部位でもがんが発生し、結局亡くなるというケースも散見されます。問題は、いくら優れた抗がん剤が開発され、承認され、使われたとしても、それはがんを治すためであって、がんを予防する、つまりがんにならないようにするためのものではないのです。