店頭にあふれる絆創膏、高額商品はボッタクリ?買うべき商品と正しい傷の治し方
生化学分野に精通し、サイエンス・コミュニケーターとしても活動するほか、教育機関で教鞭も執っているへるどくたークラレ氏が、薬局で買える医薬品や健康・栄養食品を分析! 配合成分に照らし合わせて、大げさに喧伝されている薬や、本当に使えるものをピックアップする。
どこの家にも会社にも、常に身近に置いてある絆創膏。「絆創膏なんてどれも同じようなもの」「どれを買えばよいのかなど、深く考えたこともない」という人が大半だと思います。
薬局・薬店やコンビニエンスストアなど(以下、薬局等)の店頭では、さまざまな絆創膏が売られております。正しい絆創膏の使い方を知って、適切な絆創膏を常備しておきましょう。
●絆創膏の意味
ところで、切り傷や擦り傷は乾燥させるべきか、それとも密封すべきか、どちらがきれいに早く治るでしょうか?
結論からいうと、どちらも傷口をいじらない限り、治る速度は大差ありません。しかし、治った痕を見ると、絆創膏などで傷口を乾かさないようにした場合のほうがきれいに治ります。また、絆創膏は傷口がこすれるのを防ぐという意味でも、貼ったほうが無難です。
絆創膏を貼りっぱなしにしていると、中で細菌が繁殖したり、悪さをしそうな気もしますが、多くの場合それは気にする必要はありません。むしろ、外気に触れたり紫外線に当たることが傷の治りを遅くします。
これは湿潤療法といって、「消毒をしない、乾かさない、水でよく洗う」の3原則による治療法で、比較的新しく出てきた考え方ですが、創傷(特に擦過傷)治療においては、現在の主流といえます。
薬局等では、傷の治りを早くするとうたう「キズパワーパッド」(バンドエイド社)をはじめとする、絆創膏としてはやたらと高額で、目立つ商品が並んでいるのをご存じの方も多いでしょう。
湿潤療法の考え方は、傷口ができたら流水などで洗浄したあとは、外気と遮断して封印するというものです。極論すれば、別に傷口がふさがってさえいれば、特別な絆創膏でなくても、食品用ラップフィルムでもテープでもよいわけです。実際に、病院によっては広範囲の擦り傷なんかには、パラフィルム(食品用ラップフィルムのようなもの)で傷を覆ってしまうこともあります。
●絆創膏の種類
薬局等の絆創膏のコーナーに行くと、あまりに多くの絆創膏があり、どれも同じように見えます。しかし、よく見てみると、価格帯が2種類あるのに気が付くでしょう。いわゆる普通の絆創膏で数十枚入り数百円のタイプ、そして湿潤療法対応絆創膏はわずか10枚で千円近くするタイプです。
ほかにもさまざまな商品がありますので、タイプ別にそれぞれの利点と弱点を紹介しましょう。
・ノーマルな絆創膏(救急絆創膏)
テープの真ん中にガーゼがついており、多くの人が「絆創膏」(バンドエイド、リバテープ、キズバン、カットバン、サビオ等、地方で呼び名が違う)と聞いて連想する一般的な傷パッチです。利点は価格が安いことです。安いから悪いということもなく、使い方によっては高いものを買わなくても十分に効果があります。
弱点は、ガーゼが傷口に張り付いてしまうことがあり、剥がす際に傷口を荒らしてしまう可能性があることです。安価なものほどテープの粘着力が弱く、簡単に剥がれ落ちてしまうことも難点です。これらは、後ほどの利用法で解決法を紹介します。