虫よけ、どれを選ぶべき?誤ると炎症も 海外旅行ではアースノーマットとバポナを
●フィトンチットを応用した商品も
最近は、「ペットにも優しい」とのうたい文句で、天然の植物成分を模した虫よけがじわじわと広がっています。虫よけらしくない「アロマタイプ」とか「バラの香り」などと書かれている商品です。
「殺虫成分だけでなく、さらに余計なモノが入っているのか」と思う人もいるかもしれませんが、これらに使用されているのは、大半の動物や人間の肌にも悪影響を及ぼしにくく、虫に忌避させる効果が高いことから、近年評価されている成分です。フィトンチッドと呼ばれる樹木が放出する香り成分で、人間の中枢神経に作用し、落ち着かせる効果があるといわれています。
また、コアラの食べ物として有名なオーストラリアの灌木、ユーカリの葉に含まれる成分が極めて高い蚊の忌避効果を持つことがわかっています。特にレモンユーカリの精油は効果が高いことから、商品開発研究が進められています。
中にはディートと同等、もしくはそれ以上の成分も見つかっており、今後の研究によっては、虫よけの市場も大きく変わっていくでしょう。そうした研究の断片から、それらの精油の成分を化学的に模した商品が売られているわけです。ただし、まだピレスロイド系に比べると、かなり効果が弱いのが実情です。
●海外では役に立たないこともあるので要注意
ところで、旅行などで海外に出かける際に虫よけを持っていく人は要注意です。熱帯地方では、日本の虫よけでは効果をなさないことがあります。虫よけは、その国の害虫に合わせて有効成分が配合されています。
特に、西ナイル熱をはじめ、マラリア、デング熱など凶悪な病気を媒介する熱帯の蚊に対しては、日本の虫よけはほとんど効果がありません。主成分は同じディートであることが多いのですが、濃度が違います。日本の蚊は、少量でもディートが肌についているだけで、別のターゲットへと移動しますが、熱帯の蚊は獲物を狙ったら執念で食いついてきます。また数も圧倒的に多いので、日本製の虫よけを塗った程度では多数の蚊にさされるでしょう。
日本の薬事法では、ディート自体が肌荒れや衣類を溶かしたりする恐れがあることから、12%を超える配合を禁止しており、12%配合の商品すらわずかです。
「なんだ、日本製の虫よけは役に立たないのか」と言うなかれ。海外でも効果のある商品があります。むしろ国外に持っていくべきともいえるアイテムがあるのです。
まずは、「アースノーマット」(アース製薬)をはじめとする電気式液体蚊取り。タイマーなどの電子回路のないタイプであれば、変換コネクタを使用すれば動作しますが、最近は電池式のものが売られているので、携帯しておくと旅行先の思わぬ環境(ハエの多い台所や不衛生なトイレなど)で役立つことがあります。