創業当初は中古パソコン販売事業を核に据えていたが、最近では使用済みパソコンのデータの消去の受託やリユース、オフィスの什器等の廃棄物リサイクルまで事業を拡大し、「活業ワンストップソリューション」を掲げている。主要取引先はマイクロソフト、三井住友銀行、日本郵政グループ、SMBCコンシューマーファイナンス、東北電力、中国電力、最高裁判所などだ。
経済誌編集者は次のように語る。
「榊氏はかなりイケイケな経営者です。関西人らしいキャラクターを生かし、軽妙な営業トークとフットワークの軽さで、人脈と事業を広げ、パソコン、オフィス機器関連でリユース業界の一角を占めるに至りました。
ただ従業員からあまり良い話は聞きません。事業拡大に人員の供給が間に合っていないようです。特に今回、問題が発生したデータ消去関連の部署は最近設立された部署です。現在、同社の従業員は200人を超えていますが、ここまで手広く受注するとなるとそれでも厳しいようで、頻繁に求人を出しています。就職後3年間の離職率は高くないようですが、定年まで勤め上げる感覚の社員はあまりいない印象ですね。給与面なども、一部の部署では賞与がないなど、業務量に比べて低いという話も聞きます。
どうして一社員が勝手にHDDを持ち出せてしまったのでしょう。またHDDを持ち出されても誰も気が付かない管理体制とはどんなものだったのでしょう。疑問は尽きません。当然、窃盗行為を行った従業員は厳しく罰せられるべきです。一方で、この社員以外にも同様の違法行為を行った者がいないか、またデータ消去や物理破壊が適切に行われていたかどうかについて、明らかにする必要があるでしょうね。官公庁の案件を受注していたのならなおさらです」
NHKなどによると、逮捕された社員は神奈川県庁の件について認めたうえで、「入社直後の3年ほど前から始めた。毎日のように持ち出した」と供述しているという。また、ブロードリンクの榊社長は9日、辞任の意向を示した。彼が盗んだHDD以外にもデータ消去が不完全だった事例はないのか。今後の捜査と調査の進展が待たれる。
(文=編集部)