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あの人気YouTuber、実は某企業の脚本・制作だった!勝手にスポンサー募集で規約違反

文=編集部
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「現役看護師ゆり」公式ホームページより

 チャンネル登録者数10万人の有名医療系YouTubeチャンネルが炎上している。ユーチューバーの「現役看護師ゆり」が自身の動画上で、「スポンサー」を募集し始めたのだ。YouTube規約では、チャンネル独自のスポンサー募集を禁止している。炎上後に突如、出現した運営会社が事の経緯を説明し始め、個人チャンネルではないことも判明。波紋が広がっている。

 事の発端は、7日にアップされた動画『ゆりchをスポンサー支援して下さる方を募集中です!』だった。動画では「チャンネルの規模を大きくして、いろんなことにチャレンジ、挑戦していきたい」などとYouTube上の広告収入以外に独自スポンサーを募集することを発表した。「協賛金の返礼として、動画冒頭と概要欄で、御社のサービスを紹介させて頂きます!」としており、明確に広告受注の方針を示した。同チャンネルの公式ホームページ(HP)上では、3コースの料金が掲げられている。

「プランA:19800円(動画冒頭部での紹介+リンクや紹介文を、概要欄へ記載)」

「プランB:24800円(プランA+動画の末尾でもお礼のメッセージ)」

「プランC:29800円(プランB+コメント欄でもお礼の固定メッセージ)」

「物乞いでは?」と批判

 これに対して、インターネット上では「物乞いするとは思っていなかった」「具体的な目標もないのに金寄越せって」「プラットフォームにただ乗りした上、広告を直にやり取りするのはネットビジネスのマナーとしてどうなのか」など、批判が殺到する事態になった。

 同チャンネルでは、これまで九州地方の病院で勤務する現役看護師のゆりさんが、医療従事者ならではの業界裏話や最近の医学的な知識などを平易にわかりやすく解説し人気を博していた。「病院で使う医療職の略語!いくつ知ってますか?」「医療従事者だから分かる、医療ミスの実態」といった硬派な企画から、「男にこそ見てほしい、生理の裏事情」「看護師の給与明細見せちゃいます」という自身のプライベートをさらけ出した話題まで幅広く網羅し、公式Twitter上などで同業者や看護学生などの共感を得ていた。

実は企業が運営するチャンネルだった

 ところが炎上騒動を受けた15日、「今までみなさんにハッキリと言ってなかったことを伝えます」と題した動画が掲載され、ゆりさんのこれまでの話や企画はすべて運営会社が脚本をつくり、組織として運営していたことを明らかにした。

 この動画では、ゆりさんは「出演」のみを担当しており、当人に対して報酬はほとんど払われておらず、「業務委託契約などもなくほぼボランティアのようなかたちで出演していた」などと説明。一方、一連の動画を作成するのにあたり、運営会社には企業とのやり取り、構成、編集などさまざまな工賃が発生しており、広告収入でそれらを賄っているとした。

 そのうえで、先端医学情報などを動画で発信していくためにリサーチ経費などが増加することが見込まれ、スポンサー募集に至ったとしている。また「両者(グーグルとチャンネル運営会社)の利益の全体的最適を目指す」とし、規約違反だとグーグルが指摘するのなら従う方針を示した。

明確なYouTube規約違反

 しかし、動画では運営会社がどこの会社なのかはまったく明らかにされなかった。スポンサー料の振込はカード決済になっており、公式HPの「特商法に基づく記載」の事業者名は「Social Chain」、所在地はマレーシア連邦直轄領のラブアン島となっていた。

 警視庁の捜査関係者はラブアン島について、次のように話す。

「マレーシア政府は1990年、オフショア会社法を制定して、管轄していた自治州からラブアン島を分離して連邦直轄地にしました。海外企業の新しい進出拠点にするのが目的でした。現在は、東南アジア有数の租税回避地として知られ、どれほど収益を上げても法人税は50~60万円程度しかかからないとされています。そのため中国などから多くの企業が集まっています。

 こうした租税回避地はあくまで登記上の拠点としているだけであって、実態は別のところにあります。そのため、優良とはいいがたい企業も大量に集まってくることになります。実際、仮想通貨関連の事件や詐欺、消費者トラブルで同島の会社が出てくることは良くあります」

 ちなみに昨年12月10日発効のYouTube規約の禁止行為の「10」では、次のように記されている。

「本サービスを利用して、(a)YouTube での広告表示で許可されているもの(準拠したプロダクト プレースメントなど)を除き、本サービスまたはコンテンツ上、その周囲、もしくはその内部でなんらかの広告、スポンサーシップ、プロモーションを販売すること、または(b)以下のいずれかに該当する広告、スポンサーシップもしくはプロモーションを販売すること。(i) 本サービスからの取得したコンテンツのみで構成されたウェブサイトまたはアプリケーションのページに掲載される広告、スポンサーシップもしくはプロモーションの販売、もしくは (ii) 本サービスからのコンテンツを主な根拠とする広告、スポンサーシップ、もしくはプロモーションの販売」

 ネット関連のトラブルや犯罪に詳しい全国紙社会部記者は次のように語る。

「何より気を付けなければいけないのは、運営会社が明確に企業名や連絡先、代表者名、スポンサー募集に関する契約事項を明らかにせず、インターネット上のキャッシュカード決済で早々に金を集めようとしていることです。出資するにしても、よく先方と連絡を取り、明朗な会計なのか確認を取った方が良いでしょう」

 当サイトではYouTubeを運営するグーグルに今回の件に関する見解を聞いたところ、同社広報から以下のような回答があった。

「問い合わせいただきました件ですが、 当社では個別のアカウントや動画に関してはコメントしておりません。ご理解の程賜れますと幸いです。YouTubeでは、安全で活気あるコミュニティを維持するためコミュニティガイドラインを定めています。また、YouTubeにおける禁止行為は、利用規約で明記しておりますので、ご確認ください」
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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