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仲里依紗、川口春奈…女優が“ただ食べるだけ”のYouTube動画は、なぜ驚異的な再生数?

文・取材=福永全体/A4studio
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川口春奈の公式YouTubeチャンネル「はーちゃんねる」より

 YouTube全盛の時代だが、なかには「なんでこの動画がそんなにバズッているの?」と不思議に思うような動画もあるだろう。例えば、最近は女優やタレントが“ただ食事をするだけ”の動画が注目を浴びることも。

 女優の仲里依紗は自身のYouTubeチャンネルにて、6月12日に『絶対真似しないでほしい女優の1日の食事です。確実に太ります。女優ってオーガニック食品食べんじゃないの?って思ってる方々の夢をぶち壊す動画です。』と題した動画を投稿。こちらは仕事前や仕事中、帰宅後に仲が食事をするだけの動画なのだが、現在までに226万回再生されている(7月15日時点、以下同)。

 また、女優の川口春奈も自身のYouTubeチャンネルにて、1月に『ひとり焼肉したら幸せだった』、3月に『ひとり手巻き寿司やってみた』という動画を投稿。どちらもごく簡単な調理と食事をするだけの動画であるにもかかわらず、それぞれ93万回、57万回となかなか多く再生されているようだ。

 とてもシンプルな企画内容でありながら、女優の食事動画が多く再生される理由はどこにあるのだろうか。今回は、医療法人幸啓会 北本心ノ診療所の院長・岡本浩之氏に、このような動画を視聴する人の心理や動機について考察してもらった。

“興奮”と“安らぎ”を同時に感じさせるから

 岡本氏によると、女優の食事シーンを映した動画を見る人には大きく2つの心理が働いているという。

「まず、芸能人の食事というプライベートなシーンが見られるということに、性的というと言い過ぎかもしれませんが、ある種の高揚感や興奮を感じていることが考えられます。脳内では、快楽物質ともいわれるドーパミンが多く分泌されているでしょうね。

 もうひとつ、動画を通して絆やつながりを感じることで、安心感を得ているというのも考えられます。お母さんが赤ちゃんを撫でたり、人が動物と触れ合ったりするときに多く分泌される、通称“絆ホルモン”とも呼ばれるオキシトシンが出ることによって、心が安定するといわれているんですね。今回のような動画の場合、食事シーンが臨場感を伴って見られるので、直接触れ合えないにしても、見る人の脳内に“絆ホルモン”が分泌され、安心感を得られるという可能性はあるでしょう」(岡本氏)

 また岡本氏によると、女優以外の人物が食事をする動画でも、男性アイドルやイケメン俳優が好きな女性が彼らの食事シーンを見ると、同じような効果があるそう。となると、一般人の食事動画などでも同じような脳の働きは見られるのかも気になるところである。

「まったく知らない一般人が食事をしている動画だった場合、よほど自分の性的な好みに合う人だったり、ものすごく美味しそうなものを食べていたりする場合は別ですが、そうでなければ女優さんの食事シーンを見ているときほど脳の動きはないかと思います。

 一方、例えばアニメキャラの場合は、どのくらい感情移入できるかにもよると思うのですが、自分がそのキャラと触れ合っているところをリアルに想像できる人であれば、女優の食事シーンと同じような気分を感じられるかもしれませんね」(岡本氏)

食事動画を楽しむためのカギは共感力と想像力

 YouTubeには他にも人気コンテンツとして、大量の食べ物を食べる“大食い動画”や、YouTuberがカメラに向かって話しかけながら食事をする“一緒に食べよう動画”などがある。これらが再生される理由は女優の食事動画とはまた違うのだろうか。

「“大食い動画”は、どれくらい食べるんだろう? という期待感やワクワク感を抱くので、確かに快楽物質であるドーパミンは出るかもしれませんが、“絆ホルモン”で安らぎを感じるという人はあまりいないはず。

 一方の“一緒に食べよう動画”は、“絆ホルモン”が分泌される可能性は高そうですね。視聴者が動画のなかの人物と同じ料理を用意して食べれば、なおさら“絆ホルモン”が出るでしょう」(岡本氏)

 岡本氏は、女優の食事動画や“大食い動画”“一緒に食べよう動画”などの食事系動画を楽しむには、共感力と想像力が大きなカギとなると見解を示す。

「ドーパミンは具体的にイメージをするとより強く出るものです。ダイエットにたとえると、漠然と痩せようと思うよりも、1カ月後までに何キロ痩せてこんな服を着ようとか、具体的に痩せた自分がどうしているかというイメージを持つほうが、ドーパミンが多く出てやる気もアップするものなんですね。

 動画を見ている場合もこれと同じです。視覚から得た情報に共感し、いかに自分ごととして具体的に想像できるかによって、ドーパミンの放出量は変わってきます。ですから、これらの動画をより楽しむためには、共感力と想像力が重要になってくるでしょう」(岡本氏)

 なるほど、基本的に一般人が食事をしている動画で女優のそれと同じ効果が得られないのは、初めて見た知らない人に共感し、感情移入するのが難しいからなのかもしれない。

 芸能プロダクション・グレープカンパニーの公式YouTubeチャンネルからアップされている、サンドウィッチマンの伊達みきおがただ天丼を食べている動画が、160万回以上再生されていることからも、感情移入しやすい、知っている人物の食事動画が親しまれやすいことが伺える。

 精神医学や心理学の知識を応用すれば、視聴者を本能的に虜にする動画コンテンツをたくさん作り出せるということなのかもしれない。

(文・取材=福永全体/A4studio)

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
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