“激辛”動画の投稿から10日が経過したが、批判は収まりそうにない――。
自身の公式YouTubeチャンネル上でホームレスや生活保護受給者への差別的な発言を行い、騒動の渦中にいた人気メンタリスト・DaiGo。12日深夜には釈明動画を投稿したものの、ときおり笑みを浮かべながら、
「ホームレスとか生活保護の人たちにお金が回るのは、ちょっとどうなのみたいな。僕にとっては別にいなくても関係ない存在だからって言っただけ」
「個人的な感想に間違いもクソもないと思うんで。これは別に、個人の意見じゃないですか、それに対して謝罪っていうのは別に」
などと語り、各方面からの批判に油を注ぐことに。14日には再び謝罪動画を投稿し、今度はダークスーツと黒いネクタイという装いで出演したDaiGoは、神妙な面持ちで涙を流しながら、
「先日の謝罪は、単なる僕個人の反省にしかなっていないと感じまして。真の意味で謝罪というかたちになっていないと考えて、改めてこの生放送をさせていただきます。大変申し訳ございませんでした」
と口にした。
だが、DaiGoが過去にTwitter上で「譲歩を促す最終手段、それは泣き落とし。相手の心に罪悪感を生み、やがて譲歩を引き出せる。ポイントは相手の予想を上回るように、少しオーバーに泣くこと」と投稿していたことが明るみとなり、著名人らからも以下のように厳しい指摘が相次ぐ事態となっている。
「あの謝罪・反省は真意・本意なのか実に疑わしい。基本的人権意識の決定的欠如」(前宮崎県知事・東国原英夫氏/Twitter投稿)
「この問題って、謝罪をしたからっていうことで済ませれるのかなって。僕はそういう問題だと思ってる」(タレント・坂上忍/テレビ番組『バイキングMORE』<フジテレビ系>内で)
「すごい下手な炎上商法。そういう発想を持つことも、普通じゃないというか、やっぱり異常だなと思ってしまう」(女優・遠野なぎこ/テレビ番組『バラいろダンディ』<TOKYO MX>内で)
女性や国会議員をめぐる発言も
DaiGoの公式YouTubeチャンネルは登録者数245万人を誇り、インフルエンサーとして多くのファンを抱える存在として知られている。だが、過去に投稿した動画内での次のような発言も問題視され始めており、YouTubeチャンネルのBAN、アカウント停止の可能性も指摘されている。
「正直、不健康な痩せ方をしてる女子って、男が見ても魅力感じないんですよ。画面上で見たら、かわいく見えるんですよ。でも実際に会うと、不健康なのってわかるんですよ。なんでかっていうと、いってしまうと、安全に妊娠できる能力がない女性って、男は用がないんですよ。これがどれぐらいかっていうと、おばあちゃんに●●を感じないのと同じレベルで、男性はそれに●●感じなくなっちゃうんですよ。だから意味がないんで、その痩せ方をしても。生物としても」(注:●部分は編集部にて伏字)
「僕は殺処分していい動物って、お腹に脂肪がたくさんたまって、大したことしないくせに、コロナ禍でも高い給料だけもらってる、一部の使えない議員さんなんか殺処分すべきだと思うので」
なぜ問題発言を繰り返してきたのか
一連の騒動を受け、DaiGoがアンバサダーを務める「霧島天然水 のむシリカ」は、DaiGoが出演するCMの放送自粛を発表するなど、すでに仕事にも影響が出始めているが、企業のブランディング・PR戦略などを手掛けるクリエイティブ・ディレクターはいう。
「書籍出版やテレビ出演、企業向けコンサルティングや講演、そしてYouTubeチャンネルがDaiGoの主な活動のようですが、メディア活動や企業向けの仕事は当然難しくなるでしょうし、YouTubeもこれだけ過去の差別的な発言などが掘り起こされれば、BANされる可能性もある。本人は多額の税金を納めていると発言しているようですが、彼が築き上げた“荒稼ぎのビジネスモデル”は一瞬で崩れ去ったように思えます。それにしても、過去の動画や発言などを見る限り、なぜ彼がここまで世間で持ち上げられてきたのか、そっちのほうがむしろ不思議です」
企業向けの仕事も手掛け、高い社会的知名度を有する人気メンタリストにもかかわらず、なぜ200万人以上もの登録者がいるチャンネル上で、臆面もなく問題発言を繰り返すというリスキーが行動をとってきたのだろうか。精神科医の片田珠美氏は、次のように解説する。
「DaiGoさんがホームレスや生活保護の人たちの命を軽視するような発言をしたのは、日頃思っていることがつい口から出てしまったせいではないでしょうか。その一因に、自分は『選ばれし者』だという強い選民意識があるように見受けられます。
19世紀のフランスの詩人ヴェルレーヌの『選ばれてあることの 恍惚と不安と 二つ我にあり』という言葉を彷彿させるほど自負心や特権意識が強そうな印象を受けます。ちなみに、この言葉は太宰治の短編小説『葉』の冒頭で引用されています。プロレスラーの前田日明さんが新生UWFを旗揚げした際にも引用して、有名になりました。
DaiGoさんの選民意識に拍車をかけたのは、成功体験でしょう。自身のYouTube公式チャンネルで245万人ものチャンネル登録者数を誇り、書籍出版やテレビ出演も数多くこなすインフルエンサーになりえたことが、皮肉にも今回の問題発言の一因になったように私の目には映ります。
成功したインフルエンサーの多くは、凄腕の『マニピュレーター ( manipulator )』にほかなりません。『マニピュレーター』とは、文字通りマニピュレート ( manipulate )する人であり、他人を思い通りに操ろうとします。DaiGoさんは、メンタリストを自称しているうえ、大成功したインフルエンサーなのですから、大衆の心を自分の望み通りに操ることができるという自信があったとしても不思議ではありません。
しかも、チャンネル登録者数が245万人もいるということは、それだけDaiGoさんに心酔している人が多いということです。“信者”というと語弊があるかもしれませんが、多くの信奉者がいるのだから、多少過激な発言をしても自分だったら許されるという驕りもあったかもしれません。
つまり、『マニピュレーター』としての成功体験が選民意識に拍車をかけ、『選ばれてあることの恍惚』だけが強くなって暴走したというのが、今回の問題発言の真相だと私は思います。
当然、2回の謝罪動画を見ても、彼が心の底から反省しているという印象は受けませんでした。とくに1回目の謝罪動画からは『選ばれてあることの恍惚』が透けて見えました。2回目の謝罪動画も、大炎上して、このままだと今後の活動に支障をきたすのではないか、場合によっては活動自粛に追い込まれるのではないかという危機感から、仕方なく謝罪したようにしか見えませんでした」
(文=編集部、協力=片田珠美/精神科医)