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画面表示上、LTEや3Gのアンテナがきちんと立っているのに、なぜかデータが読み込まれない。圏外なわけでも電波が不安定なわけでもなさそうなのに、データの読み込みが止まっているように見える。そんな経験があったら、それが「パケ詰まり」だ。特にiPhoneユーザーが話題にしていることが多いようだが、その中でもauのiPhoneはよくパケ詰まりするといわれていた。
これについて、MMD研究所が調査を実施。その結果が少々衝撃的だ。
●auはソフトバンクより詰まりやすく速度も遅い?
MMD研究所の調査によれば、都内の主要駅で通信した場合のパケ詰まり発生率は、ソフトバンク+iPhone 5の組み合わせて2.3%、au+iPhone 5の組み合わせで20.4%だったという。あまりにも差が大きいが、その内容をよく見ると全体的にソフトバンクよりもauのほうが発生率が高いものの、特に新宿駅と品川駅での発生率が飛び抜けて高いように見える。
また、通勤・帰宅ラッシュ時のWebページ表示にかかる時間の平均が、ソフトバンクの場合4.91秒だったのに対して、auの場合11.38秒だったそうだ。
この結果からは、単純にauのほうが混雑具合に対応しきれていないようにも見える。もしかしたら、あまり混み合っていないエリアで利用しているユーザーは、パケ詰まりを感じたことがないかもしれない。
●auのiPhoneは移動中の基地局切り替えが苦手?
iPhoneがパケ詰まりを起こすと、「3G」または「LTE」と表示された横にくるくると読み込み中をしめすマークが表示されるまでは通常どおりだが、そのまま何も読み込まれないという現象と、「3G」とも「LTE」とも表示されずに、「○」が表示されてしまうという現象が発生する。後者はau版にのみ存在するとも言われている現象だ。
パケ詰まりの原因は、主に基地局同士、3G基地局とLTE基地局といった間でうまく通信を受け渡す「ハンドオーバー」に失敗していることだといわれている。受け渡し自体がうまくいくようにするとともに、受け取った側の基地局がきちんと通信を続けられる“空き”を持っていなければいけないが、このあたりの調整が難しいようだ。
ハンドオーバー失敗は、iPhoneに限らずAndroidでも発生することだし、昔から携帯電話やPHSを車の中で使っていてふいに通話が切れてしまったというようなことはあった。ではなぜiPhoneばかり、しかもauのiPhoneばかりが問題になるのかといえば、対策がうまく効いていないからだといわれている。
ソフトバンクは小さな基地局をたくさん設置して、受け渡された先でも“空き”があるように工夫している。auは受け渡しを高速化して効率的にできるようにしている。ただ、この受け渡しを高速化する技術「Optimized Handover」にiPhoneが対応していないのだ。
基地局が空いていればそれでもうまくつながるのかもしれないが、混んでいる上に高速切り替えができないのでは、詰まってしまうのも仕方ないといったところだろうか。もちろん、ユーザーが仕方ないと諦める必要はないのだが、しばらくは環境が整うのを待つしかない状況なのも事実だ。
●対策方法は検索してみよう
実はiPhoneのパケ詰まりについては長く言われてきたことで、ネット上ではおまじないのような方法も含めていろいろな対策方法が紹介されている。困っている人はそういうものを調べ、自分の症状に当てはまるものを実行してみるとよいだろう。
ただ、今回の調査で多いとはいっても極端に発生率が高かった新宿駅や品川駅を覗くと1割前後までの発生率であることもわかった。日常生活の中でパケ詰まりに悩まされている人は、自分でどれくらいパケ詰まりが発生するのか確認してみるとよいだろう。特定エリアに限らず、非常に頻繁にパケ詰まりが発生するのならばiPhone自体の故障や、通信カードの不具合、接触などを疑ってみてもよいかもしれない。
ハンドオーバーだけが原因ならば、通信環境のよい場所でじっとしている分にはパケ詰まりが発生しないはずだ。なんだか調子が悪いというだけでなく、どういう状況でどれくらい問題が出るのか知っておこう。本当におかしいとなったら、iPhone本体やSIMカードの交換という手段もあるようだ。これで問題が改善したという報告もあるから、MMD研究所の調査を参考にして自分のiPhoneの状態が一般的な範疇なのか、異常なのかは確認してみたいところだ。
(文=エースラッシュ)