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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(7月19日)

ドコモ、ツートップ戦略不発で高まるiPhone販売観測…崩れるメーカーとの信頼関係

文=blueprint
ドコモ、ツートップ戦略不発で高まるiPhone販売観測…崩れるメーカーとの信頼関係の画像1NTTドコモ代々木ビル
「Wikipedia」より/0607crp)

 スマートフォン(スマホ)商戦で苦戦が続くNTTドコモが、7月19日から、従来型携帯電話からスマホに買い換える自社の既存顧客に対し、約5000円の値引きを始める。7月16日付日本経済新聞をはじめ、多くのメディアがこのニュースを取り上げた。

 ドコモといえば、5月中旬より、初めてスマホに買い換える顧客と10年以上の長期継続顧客に対し、ソニーとサムスン電子の2社製の端末を値引きする「ツートップ戦略」を展開してきた。日経新聞記事によれば、その結果として販売の8割以上が上記2社の端末に偏り、「他社より品ぞろえが多いドコモの強みを生かしきれず、販売全体には停滞感がある」という。今回の値引きは、販売好調なソニー製品を除く夏商戦向けスマホの大半が対象となっており、他社端末との購入負担額の差を縮め、販売の底上げをはかるという狙いがあるようだ。

 そもそも「ツートップ戦略」には、「新しい契約者の獲得につながっていない」との指摘が相次いでいた。7月5日に発表された携帯電話各社の6月の契約数を見ると、ドコモの純増数は5カ月ぶりにマイナスに転落。7月6日付朝日新聞は、「米アップルのiPhone(アイフォーン)を売るKDDI(au)とソフトバンクの好調ぶりが目立つ半面、ドコモの『一人負け』が改めて印象づけられた」とした上で、ツートップ戦略が携帯メーカーに与えた打撃の大きさを指摘した。

 ドコモの商品ラインナップで常に主役を張り、ガラケー時代に国内シェアのトップを争ってきたのは、NECとパナソニック。ドコモ向けの販売はその生命線であり、ツートップ戦略のあおりを受けた売り上げの低下も影響してか、「NECは中国レノボに携帯事業を売却する方針で交渉を進め、パナソニックは今年の冬モデルから個人向けのスマホ事業を大幅に縮小する検討に入った」(朝日新聞記事)という。同記事にコメントを寄せた携帯電話メーカー幹部は、「信頼関係をかなぐり捨てたツートップ戦略は、ドコモにとって捨て身の攻撃。不発に終わった以上、残る手はiPhone導入しかないだろう」と突き放すように話したという。

●奨励金停止で顧客流出か

 一方、ツートップ戦略が思うような効果を上げず、ドコモが「正念場」に追い込まれた要因として、7月15日付読売新聞は「販売数に応じて代理店に支払う奨励金を一時停止し、契約成績の悪化を招いた」ことを挙げている。ドコモは販売コストの大幅削減を狙い、6月から販売店への奨励金を停止していた。同記事では、そのことでKDDIやソフトバンクも扱う代理店が、ドコモの機種を積極的に販売しなくなったため、ツートップ戦略によるプラス効果を上回るペースで顧客が流出したと分析している。

 また、ドコモは6月より、奨励金に代わる他社顧客の獲得策として、通信料金から13カ月で約1万円を割り引く優遇措置を開始。加えて、7月12日に奨励金を再開しており、結果として販売コストは以前より増加。読売新聞は「今後は、販売数が増えれば増えるほど利益を圧迫することになる」とまとめている。

 前出の日経新聞記事によれば、ドコモの契約者数5000万人のうち、ガラケーユーザーは3000万人程度いるといわれる。「5000円値引き」を軸に、まずは自社の顧客にスマホを売ろうという戦略だが、顧客の流出に歯止めをかけるためには、やはり以前からたびたび噂される「iPhone導入」しかないのでは、との見方も広がっている。

 夏のスマホ商戦で優位に立とうと、なりふり構わず次々と策を投入しているドコモだが、どこかチグハグな印象が否めない。スマホ市場でのドコモの苦悩は、この先も続きそうだ。
(文=blueprint)

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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