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高橋暁子「ITなんかに負けない」

TikTokが瞬く間に若者のインフラになった、中高年が想像もつかない“理由”

文=高橋暁子/ITジャーナリスト
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 同時に、ユーザーがSNSに慣れるに従い、自己表現ができたり、承認欲求が満たせるものが好まれるようになってきている。2018年に人気を博したTikTokは、15秒までのショート動画で自己表現ができ、「いいね」でコミュニケーションできるため、現代にマッチしたツールとなっている。

現代の子どものニーズに合致するTikTok

 コミュニケーションツールが変化するに従って、子どもたちの感覚も大人とは違ったものになってきている。たとえば、子どもたちは日常的に自撮りに慣れ親しんでいる。自分の写真や動画を公開することに、驚くほど抵抗がないのだ。

 そのような背景があるため、自撮りで写真や動画が「盛って(実際以上に可愛らしく)」撮れるアプリは人気が高い傾向にある。なかでもTikTokはスマホと同じ縦型画面であり、上半身のみで撮ることが多く、人気の音楽に乗せて「盛って」撮れると人気なのだ。

 また、一般のSNSはフォローされなければ投稿を見られない仕組みだが、TikTokでは「おすすめ」に載れば多くのユーザーに見てもらえるため、ファンがゼロでも「いいね」やファンが集めやすくなっている。つまり、「盛った」動画が撮れ、ファンや「いいね」が得られやすいアプリだからこそ、人気が出たというわけだ。

 当然、スマホだけあれば、撮影・編集技術がいらず、機材もいらず、簡単に使えるようになっている点も人気をあと押ししている。流行っているものを真似すればよく、オリジナリティを求められない文化のため、参加の敷居は低い。

 全体にSNSツールは、直感的で感覚的で容易になってきている。2019年もこのような、動画で表現できたり、自分を「盛れ」たり、「いいね」やフォローが集めやすいサービスが人気を集めることは間違いない。

 投稿が自動的に消えるSnapchatが人気が出たときにInstagramにストーリーズ機能が搭載されたように、似たような機能を載せるところも現れるだろう。実際、Facebookは米国でTikTok風アプリ「Lasso」を発表している。今年の人気サービス・アプリはどうなるのか、注目していきたい。
(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

書籍、雑誌、Webメディアなどの記 事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などが専門。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎) など著作多数。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。令和 三年度教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。


高橋暁子公式サイト

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