Minchuが運営する駐車場シェアリングサービス「みんなの駐車場」は、以前は月額固定制サービスだったが、現在は会員であれば完全無料で駐車できるようになり話題を呼んでいる。運営費は駐車場周辺の店舗などから得る広告収入から賄われているそうで、出入庫する際に広告が掲載される仕組みだ。現在、対象の駐車場は神戸市内のみとなっているが、今後エリアを拡大していく予定だという。
専用スマートフォンアプリで予約でき、利用方法は簡単。予約できるのは同時に1回までだが、1週間前から予約可能で最大6時間停められる。
夢のような無料駐車場、ぜひとも全国展開してほしいというのがドライバーたちの願いだろう。しかし、パーク24が全国で展開する「タイムズ」をはじめとした有料駐車場が、駐車場向きの土地の大半をすでに占拠しており、「みんなの駐車場」がこのまますんなり拡大していくとは考えづらい。
そこで今回は、最近の駐車場業界の動向とともに無料駐車場ビジネスの今後の展望を知るべく、『ビジネスフレームワーク100 使えるキーワード図鑑』(宝島社新書)などビジネス関連著書が多数ある経営戦略コンサルタント・鈴木貴博氏に話を聞いた。
駐車場業界は順調に市場拡大している
「駐車場業界全体を見ると、市場は順調に伸びています。その大きな要因は、放置車両確認事務が民間法人に委託され、駐車違反の取り締まりが強化されたことです。業界最大手のパーク24が開示した資料によると、この1、2年は年率2割ほどのペースで売上を伸ばしてきています。
その一方でパーク24は、駐車場市場というものがうまく定義できないということを言っています。例えば、ロードサイドの大きなレストランには、無料の駐車場が併設されていますが、都心であればパーキングメーターを設置して管理しています。駐車料金で換算すると、潜在市場は5兆円といわれていますが、全国に存在する有料駐車場の数を正確に特定するのは困難であるため、実際の市場規模はわからないのです」(鈴木氏)
若者の自動車離れなどが叫ばれて久しいが、業界全体の成長は順調なようである。業界で独占的なシェアを誇るパーク24の事業全体の売上高を見てみると、2017年は前年比19%増、2018年は24%増を計画している。国内の駐車場事業だけを見ても、毎年約6%の売上増が確認できる。