今、パーク24の経営が面白い。同社は、先端テクノロジーを使って時間貸しの駐車場「タイムズ(Times)」を運営している。市場参加者の間でも、同社への注目度は高まっている。その背景には、同社がカーシェアリング(会員同士で特定の自動車を共同使用すること)の事業の強化を重視していることがある。
カーシェアは、“シェアリングエコノミー”のひとつだ。それは、個人等がモノやサービスを購入してその所有権を独占するのではなく、複数の個人などが幅広い利用権を共有することをいう。同社は、駐車場にカーシェアの拠点としての機能を付け加えた。それだけでなく、ITの先端技術を使い、ユーザーが「また使いたい」と思ってしまうカーシェアサービスを提供することができている。これは、駐車場、カーシェア、先端テクノロジーの3つの要素の新結合によるイノベーションといえるだろう。
国内カーシェア市場におけるパーク24のシェアは7割近くに達する。それだけ同社は多くの人の運転、走行環境に関するデータを収集することができる。このデータの収集は、自動運転や自動車とICT環境のコネクトなど、“モビリティ(移動に関する幅広い概念)”に関する取り組みを進める上で欠かせない。同社がIT先端テクノロジーを駆使して、既存の事業に新しい要素を加え、さらなる成長を目指すことを期待したい。
カーシェアビジネスで成長を目指すパーク24
最近、都内の地下街などを歩いていると、黄色い布地に黒字で「Times」と書かれたパーク24ののぼり旗をよく目にする。地下道で駐車場の宣伝をしているのかと思うと、それが違う。同社はカーシェアリングサービスの利用者を集めるために、PR活動を行っているのだ。カーシェアの説明をしている人の話を熱心に聞く通行人も多い。これは、わが国でシェアリングエコノミーへの支持が拡大しつつあることを確認する良い事例だ。
パーク24の決算内容を見ると、カーシェアリングサービス事業の成長率の高さが良くわかる。同社の事業分野は、駐車場事業、モビリティ事業(レンタカー事業やカーシェアリングサービスの「タイムズカープラス」)、海外事業(海外での駐車場運営業務)の3つに分けられる。