現在、同社の主な収益源は国内での駐車場運営ビジネスだ。過去5年間程度の営業利益を見ると、2014年10月期の上期決算で国内駐車場事業の営業利益は121億円だった。その後は浮き沈みを経つつ、足許の営業利益は128億円となっている。明確な増益トレンドは確認できない。
一方、2014年10月期の上期決算でモビリティ事業は営業赤字に陥っていた。足許では18億円の黒字が確保されている。モビリティ事業の成長を支えているのが、カーシェアリングサービスだ。18億円の営業利益のうち、16.9億円がタイムズカープラス事業の営業利益である。
この決算データからいえることは、パーク24は駐車場事業を基盤にしつつ、カーシェアリングのサービスをビジネスモデルに付加し、成長を目指しているということだ。国内株式市場参加者の間でも、今後の成長を期待するアナリストなどは多い。参考までに、2017年3月時点で、パーク24の会員数は78万人、第2位のオリックスのカーシェア会員は17万人だった。
パーク24のカーシェアを支える要素
国内カーシェア市場でパーク24は70%というドミナントなシェアを手にしている。その理由は2つ考えられる。まず、同社は駐車場にカーシェアのステーション(拠点)としての機能を付加した。住宅街や駅の近くなど、使いやすい場所にカーシェアのステーションがあると便利だ。駐車場という既存の要素に、同社はカーシェアという新しい発想を結合したのである。それによって同社は、自動車の所有に伴うコスト(購入代金や車検代金などの支払い)を抑えつつ、必要に応じて車を使いたいという人々の需要を取り込んだ。
もうひとつの要素が、情報コミュニケーション関連のテクノロジーの活用だ。パーク24はカーシェアに使われる車両にセンサーなどのIT機器を搭載し、利用の状況や運転などに関するデータを収集している。それを活かして、同社は「プラスポイント」制度を設けている。
これは、車を清潔に、きれいに使ったり、急加速や急発進をせずエコドライブを心がけると獲得できるポイントだ。一定のポイントをためると、3週間前から自動車の予約が可能になる。さらにポイントをためると、欧州車などを国内メーカーの量産モデルと同じ料金で使えたり、基本料金の割引制度を受けることもできる。つまり、テクノロジーの活用によって、利用者により良い行動を目指すインセンティブを付与することができている。これは、多くの人が安心快適に自動車をシェアするために欠かせない仕組みだ。