一見すると上り調子に見える駐車場業界だが、ここで業界が抱える課題について聞いた。
「駐車場に関わる課題は、土地開発事業者の抱える問題によるものが大きいです。駐車場の整備によってロードサイドが便利になって人が集まるようになると、旧市街地の活気が失われていきます。旧市街地には駐車場をつくる余地があまり残っていないので、旧市街地にも駐車場をつくればいいという簡単な問題でもないのです。この問題を放置すると、街の商業の中心である百貨店などが閉店し、さらに街全体が寂れていくといった悪い連鎖が起こる可能性もあります。
ですから、どのようにして駐車スペースを広げていくか、ということが課題となるわけですが、その発想から生まれたのが駐車場シェアリングです。余った土地を駐車スペースとして提供し、旧市街地などにも人を呼び込む。駐車場のシェアリングビジネスは街の活性化を促すという目的に基づいていると認識すべきだと思います」(同)
実験的な駐車場無料化は最大手も注目?
では本題だが、「みんなの駐車場」無料化にはどんな意図があるのだろうか。
「一般論でいうと、自動車が停まっているということは、そこに広告価値があるということ。これはジオ・センシングという考え方に基づいていて、位置情報を持った人のところに広告を送ることで発生する、経済効果を期待しているのです。
駐車場に自動車を停めたとき、近くの店が広告やクーポン券を送ると、集客のチャンスになります。ですから、位置情報に基づく経済価値をお金に変えていくようなビジネスモデルが出てくるのは、至極当然の話ともいえます。ですから今回の『みんなの駐車場』の例は、その広告モデルを駐車場の運営に利用できないかと、模索する狙いがあるのでしょう」(同)
駐車場近隣の施設の広告を、街の外部から人が集まる駐車場に投じるのが狙いということか。これは地域商業の発展への寄与も期待できるため、鈴木氏いわく「『みんなの駐車場』無料化はシェアリングビジネスの発想と近い部分がある」とのことだ。
そんな「みんなの駐車場」無料化を、既存の有料駐車場事業者はどのように受け止めるのだろうか。業界トップをひた走るパーク24からすれば、「出る杭は打っておきたい」という心情なのではないだろうか。