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高杉康成「コンセプト・シナジーな経営戦略」

インダストリー4.0なんて“机上の空論”だ…日本の工場は、とっくの昔から導入

文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士
インダストリー4.0なんて“机上の空論”だ…日本の工場は、とっくの昔から導入の画像1「Gettyimages」より

 第4次産業革命(インダストリー4.0)という概念。今ではその言葉があちこちで見られるようになってきました。しかしながら、このインダストリー4.0(以下、「4.0」)は本当に「革命」となるのでしょうか。あるいは「単なる空想」なのでしょうか。本テーマ2回目の今回は、4.0におけるIoTの役割について見ていきたいと思います。

 IoT(Internet of Things)とは、あらゆるモノがインターネットを通じてつながることによって実現する新たなサービスなどの総称です。今ではスマートフォンのみならず、自動車、自動販売機、建設機械などさまざまなモノがインターネットにつながるようになり、単なるデータ通信のみならず、遠隔監視、遠隔操作などのさまざまなサービスも増えてきました。

 このIoTの考え方は4.0の中核となっている考え方です。前回も述べましたが、4.0では「あらゆるものがインターネットにつながるIoTの技術を使い、各工場の製造装置をセンサーとネットワークでつなぎ、世界各地の工場をまるで1つの工場のように運用する」と述べられています。つまり、各工場の製造装置をセンサーとネットワークでつなぐことが、4.0の前提となっているのです。

 おそらく、この部分を読んだだけでは何も違和感はないでしょう。むしろ、センサー、ネットワークといったハイテク機器を使った大規模なシステムなので、大いなる期待を持つ人も少なくないでしょう。しかしながら、ここに落とし穴があるのです。

 筆者は、世界的にも有名な工場用センサーメーカーの新商品の企画を担当していました。その経歴から、工場で使っているセンサーの種類、原理、技術について、ほぼすべてを把握しています。また、自動化で必要となる産業用モーター、工作機械など機械、完成品、部品の新商品開発などのアドバイスも行ってきました。つまり、工場で使っているさまざまな機械、センサーに関して膨大な知識、情報を持ち合わせています。言わば、工場の自動化、IoT、センシングのプロフェッショナルです。

 その視点でみると、4.0におけるIoTの発想は、まさに「森を見て木を見ず」の「空想」であり、現場の実態を知らない人たちがつくった「机上の空論」なのです。それでは、どこがどう「空想」であり「空論」なのか見ていきたいと思います。

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

経営学修士、中小企業診断士、岡山県立大学地域創造戦略センター客員教授
神戸大学大学院 経営学研究科 博士後期課程中退(経営学修士、MBA)。日本屈指の高収益企業、キーエンスの新商品・新規事業企画担当を歴任。退職後、新規事業や新製品開発、ビジネスの付加価値向上などの分野において、大企業から、中小企業まで幅広い業種・企業の指導に携わる。一般消費者向けの小売店、ネット販売企業などにおいても、ビジネスモデルの転換、収益力向上、新製品開発などで数多くの実績がある。
最近では、次世代自動車(CASE)、次世代通信、ロボット、AI、IoT、VR・AR、農業クラウドサービスなど、さまざまな最先端・成長業界における新規参入の支援を、上場企業をはじめ全国の企業に行っている。こういった企業への指導実績から、テクノロジーについても非常に詳しく、最先端分野の知見を有している。専門分野は、ブルーオーシャン戦略、事業戦略、技術経営(MOT)、Webマーケティング。
コンセプトエナジー株式会社

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