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普及する3Dプリンター、最前線と可能性〜工業&医療分野、私生活でも“楽しく”活用

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普及する3Dプリンター、最前線と可能性〜工業&医療分野、私生活でも“楽しく”活用の画像1「Thinkstock」より
 「3Dプリンター」という言葉が方々で聞かれるようになってきた。少し前までは、高額な機械を使った企業での事例や、研究室のようなところでの開発の様子などがテレビで紹介される程度だったが、最近急速に身近な話題が増えてきている。

 国産の小型プリンターとして、オープンキューブの「SCOOVO C170」という製品が登場した。18万円台で購入できるということで、個人で購入するには高額だが、企業ならば比較的簡単に入手できる価格帯だ。また海外製品の中には、800ドル以下で購入できるものもある。

 プリンター本体を購入しなくても、持ち込んだデータから1個ずつ出力してくれるサービスも出てきている(東京リスマチックなど)。家庭用プリンターでできない大きなポスターや特殊な用紙へのプリントを業者に依頼するのと同じような感覚で、立体造形出力が行えるようになってきた。

 出力する方法はかなり身近になったわけだが、ではこれで何をつくるのか、何がつくれるのかについて少し考えてみよう。

●家で自動車はつくれない

 3Dプリンターは、3D-CADなどで作成した図面があれば、実際に立体をつくることができる。金型などがいらず、1個ずつ違った形のものをつくるのも簡単だ。企業が利用する場合、試作品をつくるような用途が多いらしい。

 この特徴を利用して「データさえあればなんでもつくれる」といういい方をされることがある。理屈としては、確かになんでもつくれる。一部が可動するようなものもつくれる。しかし、そうしてつくった部品を組み合わせたら、自動車ができるのかというと、自動車の形はできるだろうが走れるものにはならない、という状態だ。

 これは素材と製法の問題だ。3Dプリンターは、薄いパーツをばらばらにつくって組み立てるというわけではないのだが、粉や液体を少しずつ固めて層を積み上げるようにして立体をつくっている。だから、全方向に対して同じ強度を持っているわけではない。

 また、ごく小規模かつ安価に入手できるプリンターの場合、立体造形に使っている素材が石膏やアクリル樹脂、ポリエステルなどのことが多く、見た目はしっかりしているが、強度はそれほどないのだ。

●フィギュアからアクセサリまで、個人利用はアイデア次第

 家庭で利用できるような小型プリンターの場合、当面は“オリジナルでフィギュアをつくったりするのに向いている”という感じかもしれない。ハンドクラフト系の趣味を持っているなら、オリジナルのパーツをつくってみたりするのもよいだろう。サークル全員でオリジナルのマスコットを持つ、部活の仲間でおそろいのキーホルダーをつくる、というような使い方はすぐにでもできそうだ。

 また、家庭で強度のあるものをつくるのは難しいが、業務用プリンターならば非常に細かい造形を再現したり、強度のある素材を使えるものもある。そういう出力サービスを利用すれば、アクセサリなどもつくれそうだ。例えばDMM.comの3Dプリントサービスでは、チタン素材での立体出力や、出力したものを型として使ってシルバー鋳造する方法なども用意されている。

 個人での発明に取り組んでいる人にも価値があるだろう。これまでは、個人で物づくりをするといっても、既製品をちょっと改造する程度以上のことは難しかった。しかし3Dプリンターなら1個からモデルがつくれるから、使い勝手を確認したりプレゼンテーションに利用したりできるようになる。ある程度強度のある素材を使い、オリジナルの発明品を自分用と友人用につくって、クチコミで広げるような方法も取れそうだ。

●医療分野での実用化は間近

 家庭用への過大な期待は、今のところ持てないが、医療分野での実用化には大いに期待したいところだ。

 国内でも、来年には顔面の欠損を埋める人工骨として実用化されるめどが立っているという。もちろん、アクリルでつくったパーツを埋め込んでしまうというわけではない。実際の骨と同じ成分の素材を使うことで、自分の骨に自然と同化するのだという。複雑な形状を比較的容易につくることができる3Dプリンターの実力が存分に生かされる分野だ。

 海外では、すでに医療分野で実用例がある。工業分野での試作品制作などでは、十分活躍しているようだ。

 家庭で、直接ダウンロードしたデータから製品をつくるというような使い方はまだ遠そうだが、3Dプリンターでつくられたものに触れる機会や、その恩恵を受けられる可能性はどんどん増えてきている。
(文=エースラッシュ)

BusinessJournal編集部

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