安倍晋三政権が推進する経済政策・アベノミクスや、2020年東京オリンピック招致決定により、景気回復や都心の地価上昇への期待が高まる中、マンション購入を検討する人が増えているという。
マーケティング会社・Attractors Labが実施した「マンション購入に対する意識調査」(2013年7月/調査対象:同社運営サイト「住まいサーフィン」モニター登録会員の中で、直近3カ月の間に新築マンション販売センターを訪問した人)によれば、「1年前と比べてマンション購入意欲」が高まった人の割合は「77.3%」と、過去最高水準を記録している。「不動産情報サイトへのアクセス頻度」も、「よくアクセスするようになった」人の割合が70%を記録し、マンション購入へ意欲的な人が多いことがうかがえる。
しかし、いざマンションを購入しようと思い立って不動産情報サイトを眺めたり、デベロッパーが提供するホームページを見たり、モデルルームを訪れたところで、無機的な情報しか手に入らない。売る側は物件の良い部分だけを強調し、高級感あふれる広告を行っているので、購入検討者にとって、そのマンションの実態や実際の雰囲気をつかむことは難しい。
今回は、そんな悩める購入者を後押ししてくれるマンションの口コミサイトであるマンションノートを紹介しよう。サイトを紹介するにあたり、マンションノートを運営するレンガを訪れて、詳しい話を伺った。
厳重なステマ対策とユーザーファースト
「ステマや業者対策はもちろん、ユーザーファーストで手間暇かけて信頼性を高めている」と藤井氏は語る。マンションノートでは、口コミを投稿する際には、そのマンションの良い点と悪い点の両方を記入しなければならず、それぞれ50文字以上という制約を設けている。さらに、投稿されたすべての口コミはレンガの担当者が目を通し審査するという徹底ぶり。審査に使うチェック項目は100項目以上で、特に、「一方的な誹謗中傷になっていないか」「個人を特定していないか」などを重点的にチェックしているという。
では、実際にマンションノートに投稿された口コミの一部を見てみよう。マンション周辺の環境情報や住人の質に関することなど、さまざまな口コミが投稿されている。ここで気づくのは、ある人が「悪い点」として書いたことも、別の人にとっては「良い点」になり得ることである。例えば、「近くに高速道路が通っている。インターチェンジも近いので、排気ガスが心配」と、車を運転せず健康に特段気を使っている人が「悪い点」として評価していても、車を使ってよく出かけたり通勤したりする人であれば、近くのインターチェンジから素早く高速道路に乗れるから「良い点」と評価するだろう(わかりやすい例として高速道路を取り上げたが、実際の口コミには、ここでは書けないような生々しいものも多数投稿されている)。
このような口コミは、前述の通り厳正な審査が行われているが、さらに信頼性を高めるために、レンガでは実際に口コミを投稿したユーザーにアポイントを取って、非公式で事実確認を行っているとのこと。「一定数以上の口コミが入ると、どうしても情報にブレが出てきてしまいます。そんな時は、自らが出向いて事実確認し、事実と異なる投稿を精査する必要があります」「マンションノートに投稿された情報は、購入者が検討するためだけではなく、デベロッパーが、今後より良いマンションを開発するためにも参考にしてほしいです」と藤井氏は続ける。口コミを審査するのはもちろん、ユーザーファーストを意識した運営が行われているのが、マンションノートの優れた点だ。
独自のアルゴリズムで点数評価も
ユーザーが口コミを投稿するときには、「建物スコア」「環境スコア」と呼ばれる、建物の施設や周辺環境についての評価を5段階で入力する。サイトではこれらの評価を総合して表示しているが、単純平均するのではなく、レンガで独自開発したアルゴリズムで点数を算出している。
また、某グルメサイトで起こったようなステマ対策にも力を入れている。藤井氏によれば、「5段階評価で3というと並の評価のように思えますが、マンションノートでは高い評価ですね」とのこと。今後の課題としては、「マンションの周辺環境の情報、例えば『目の前の通りの交通量が多くてうるさい』といった数値化しにくい情報を、どうやって定量的に評価につなげるかです」と藤井氏は語る。確かに、周辺環境に関する評価にも、購入者の考え方によって、プラスにもマイナスにもバイアスが働くだろう。
まとめ
すべてのマンション物件で100%完璧なものは存在しない。デベロッパー各社も個性を生かしたマンション開発をしているので、その個性を購入前に理解して良い点や悪い点を知ることができれば、購入してから「こんなはずじゃなかった」と落胆することがなくなるだろう。売る側の話に惑わされず、購入を検討するマンションの実態をつかむために、マンションノートを活用するのも一つの手段だ。
(文=久我吉史)