今では月1GBで月額290円という驚くべき低価格で利用できる「格安SIM」。大手キャリアの月額利用料は月額4,000〜7,000円程度はしますので、年間で数万円は安くすることが可能となっています。それでも、なんとなく格安SIMに乗り換えるのは不安、あるいは面倒だと考えている人も多いでしょう。そこで今回は、あえて格安SIMの欠点やデメリットを8つ紹介してみます。でも、それがわかっていれば、逆に「格安SIMに乗り換えてもいいかな?」と思えるかもしれませんよ!
そもそも格安SIMって何? どのくらい安くなるの?
そもそも格安SIMとは、自社回線を持っているドコモやauといった大手キャリア(MNO)から通信回線を借りて、格安な利用料金で「SIM(シム)カード」を提供するケータイ事業者(MVNO)のことです。
SIMカードとは、電話番号や契約情報が記録された小型ICチップのこと。SIMカードはスマホに入れて設定することで利用可能となりますが、“スマホの契約=SIMカードの購入”と考えていいでしょう。
もっとも最近は物理的なSIMカードを利用しない、「eSIM(イーシム)」を利用することで、自宅にいながらすぐにキャリアの乗り換え(MNP)ができるようになっています。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ご存じのとおり、大手キャリアは全国に自前のショップを設置して、契約から機種変更、トラブル時の対応などを行っています。当然、対面で相談できるため安心して利用できますが、利用料金はどうしても高くなってしまいます。
これに対し、格安SIMは一部店舗を構える事業者もありますが、基本的に店舗を持たず契約やトラブル時の対応もすべてネットでやり取りすることになります。でも、それによってスマホの利用料金は驚くほど低価格にできるのです。
それを踏まえたうえで、まずは大手キャリアと格安SIMの料金体系がどうなっているのか確認してみましょう。
大手キャリアのメインプラン料金は4,000〜7,000円!
現在、自社回線を持っている大手ケータイキャリアは、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社があります。
たとえば、ドコモが23年7月から提供している「eximo(エクシモ)」は、月1GBまでは月額4,565円、月3GBまでは月額5,665円、月3GBを超えると無制限で利用でき月額7,315円となります。
これに、家族割やドコモ光セット割、dカードお支払割などをすべて適用すると月3GB以上(無制限)でも月額4,928円まで安くできる仕組みです。
auやソフトバンクも、ほぼ同じような料金プランを用意しており、やはり大手キャリアのメインプランの月額利用料は4,000〜7,000円ほどかかってしまうのです。
【ドコモ・eximo(エクシモ)】
【基本料金】月額5,665円〜7,315円
月1GBまでは4,565円、月3GBまでは5,665円で、月3GB超は7,315円で無制限利用できるが、3つの条件をクリアすれば月額2,178円〜4,928円まで安くなる
●ドコモ「eximo」は→こちら
【au・使い放題MAX 5G/4G】
【基本料金】月額4,928円〜7,238円
月3GBまで4,928円で、3GB超は7,238円で無制限になるが、3つの条件をクリアすると、月額3,278円〜4,928円まで安くなる
●au「使い放題MAX 5G/4G」は→こちら
【ソフトバンク・メリハリ無制限】
【基本料金】月額4,928円〜7,238円
月3GBまで4,928円で、3GB超は7,238円で無制限になるが、家族話やおうち割適用で一人あたり4,928円まで安くなる
●ソフトバンク「メリハリ無制限」は→こちら
【楽天モバイル・ Rakuten最強プラン】
また、最後発の楽天モバイルが提供する「Rakuten最強プラン」は、新規顧客を獲得する目的もあって、月3GBまで月額1,078円、月20GBまでは月額2,178円、20GB超は無制限で月額3,278円と、かなりお得な料金設定になっています。
最近は人口カバー率も99.9%になったので、ネット回線のつながりにくさも解消されて、以前よりはかなり使いやすくなりました。
【基本料金】「Rakuten UN-LIMIT VII」月額1,078円〜3,278円
※月3GBまで月額1,078円、月20GBまで月額2,178円、20GB超は無制限となり月額3,278円になる
●楽天モバイル「Rakuten最強プラン」は→こちら
なお、最近は大手キャリアもネット申し込みが前提の格安プランを用意しており、ドコモは「ahamo(アハモ)」、auは「povo2.0(ポヴォ)」、ソフトバンクは「LINEMO(ラインモ)」があります。
こちらは、月20GBで月額3,000円前後と割安ですが、一部を除き、基本的にキャリアショップでは扱っておらず、格安SIMと同じようにネットで申し込むのが前提となっています。大手キャリアの格安プランに関しては、こちらの記事を確認してください。
格安SIMなら月額290円から利用可能!
大手キャリアに対し、格安SIMでは驚くような低価格のプランが用意されています。
たとえば、日本通信の「合理的シンプル290」は月1GBが月額290円で、あとは使った分だけ1GBあたり220円を加算する仕組みになっています。
●日本通信「合理的シンプル290」は→こちら
ほかにも、NURO(ニューロ)モバイルの「バリュープラス」では、VSプラン(月3GB)が月額792円で利用できるほか、VMプラン(月5GB)が月額990円、VLプラン(月10GB)が月額1,485円と、かなり格安で利用できます。
●NUROモバイル「バリュープラス」は→こちら
もし、大手キャリアで毎月7,238円支払っていた人なら、NUROモバイルのVMプラン(月5GB)に乗り換えれば月額990円になるため、スマホの料金は毎月6,248円も安くなります。
年間ではなんと7万4,976円も節約することが可能となるので、決してバカにできないでしょう(乗り換え費用や通話料などは除く)。
もちろん、大手キャリアで各種割引き制度を適用すれば、この価格差は縮まりますが、それでも格安SIMが断然安いことに変わりはありません。
格安SIMにどのようなプランがあるのか詳しく知りたい人は、こちらの記事を確認してみてください。
大手キャリアから格安SIMに乗り換えれば年間7万円以上も安くできるかもしれないのに、それでも大手キャリアから乗り換えない人は「なんとなく面倒くさい」「格安SIMのことがよく分からない」といったことが理由でしょう。
株式会社TeNと株式会社レプロエンタテインメントが共同運営しているin netが実施したアンケート調査では、格安SIMの乗り換え経験がないユーザーが50%以上いることが明らかになっています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
そこで今回は、あえて格安SIMのデメリットを8つ紹介することで、格安SIMのことをさらに理解できるように解説します。
■格安SIMの8つのデメリット
【1】聞いたことのない会社で不安!
【2】通信が安定せず大手キャリアより遅いことも……
【3】実店舗での契約やサポートが受けられない!
【4】無料通話(家族割)がない!
【5】キャリアメールが使えない!
【6】最新iPhoneが買えない!
【7】スマホの初期設定を自分でやる必要がある!
【8】支払いがクレカのみで口座振替に対応しない!
【1】格安SIMは聞いたことがない会社で不安!
格安SIMは全国に数百社もあり、あまり聞きなれないブランド名で展開しているので、利用するのが不安だという人も多いでしょう。たしかに“安かろう悪かろう”では意味がありませんよね。
しかし、格安SIMのネット回線は大半がドコモやau、ソフトバンクのものを使用していますし、運営会社名を調べてみれば、その不安も解消されるかもしれません。
たとえば、NUROモバイルはソニーグループの格安SIMですし、mineo(マイネオ)は関西電力系のオプテージが提供しています。
ほかにも、LIBMO(リブモ)は東海地区のCATVや光回線を提供するTOKAIコミュニケーションズが運営しており、現在はドコモショップでも取り扱っています。
いずれもきちんとした会社がサービス提供していますので、さほど心配することはないでしょう。
●mineo(公式)は→こちら
●LIBMO(公式)は→こちら
【2】通信が安定せず大手キャリアより遅いことも……
格安SIMのほとんどは全国どこでも利用できるドコモ回線を利用しています。なかにはauやソフトバンク回線を選べる場合もあります。
それなら「大手キャリアとまったく同じ品質じゃないの?」と思ってしまいがちですが、必ずしもそうではありません。
回線が込み合う夕方などの時間帯などでは、どうしても格安SIMは速度が遅くなったりしますので、多少は注意が必要です。
もし、格安SIMでも回線速度は安定したものにしたいということなら、格安SIM最大手のIIJmio(アイアイジェイミオ)や、大手キャリアが提供するahamoやpovo2.0、LINEMOなどにしておけば間違いありません。
ちなみに、IIJmioは東証プライムに上場している電気通信事業者の「インターネットイニシアティブ(IIJ)」が運営しており、安心して利用できます。
●IIJmio(公式)は→こちら
【3】実店舗での契約やサポートが受けられない!
格安SIMは実店舗でのサポートを行わないことで、格安なサービスを実現しています。そのため、実店舗での申し込みやサポートは受けられないと思いがちです。
しかし、実際には実店舗を構える格安SIMも少なからずありますし、大都市なら家電量販店の格安SIMコーナーにおいて、対面で格安SIMを申し込むことができます。
たとえば、日本中どこにでもある「AEON(イオン)」が運営する「イオンモバイル」なら、全国200店舗以上あるイオン店舗で格安SIMを申し込むことが可能となっていますので、このような格安SIMを利用すればいいでしょう。
【4】無料通話(家族割)がない!
格安SIMには、大手キャリアに見られる無料通話サービスの「家族割」はありません。格安SIMで普通に電話をかけると22円/30秒かかるので、1時間通話するだけで2,640円もかかってしまいます。これは大問題ですね!
ただし、スマホの場合は半額電話アプリを利用すれば11円/30秒で通話できますし、1回5分かけ放題オプションが月額500円程度、完全かけ放題オプションも1,400円程度で追加できます。
もちろん、現在では家族や友だち相手なら、LINEの無料通話サービスを利用する人がほとんどでしょうから、もはや無料通話の家族割がないことをそれほど気にする必要はないでしょう。
【5】キャリアメールが使えない!
キャリアメールとは、ドコモのドコモメール「〇〇〇@docomo.ne.jp」といったキャリア名の入っているケータイ用メールのことです。
ガラケー時代にはかなり活用されてきたキャリアメールですが、Googleが提供する無料のGmailやLINEを利用している人が多いのではないでしょうか?
BIGLOBEモバイルなどでメールアドレスを提供している場合もありますが、格安SIMでは基本的にキャリアメールの提供は行われていません。
どうしてもメールアドレスが欲しいということなら、スマホでも送受信できる「Gmail」や「Yahoo!メール」などのWebメールを使えば十分なので、今さらキャリアメールにこだわる必要はないでしょう。
ちなみに、ahamoでドコモメールは提供されていませんが、現在使っているドコモメールを「ドコモメール持ち運び」(有料330円(税込))を申込むことで、引き継ぐことは可能となっています。
●ahamo「ドコモメール(@docomo.ne.jp)は使えますか?」は→こちら
基本的に、格安SIMでも最新スマホを同時購入できますが、それはAndroidスマホのみ。最新のiPhoneを購入できるところはありません。
ただし、型落ちのiPhoneや中古のiPhoneでよければ、格安SIMでも購入することが可能となっています。
●mineo「端末ラインアップiPhone」は→こちら
また、最新のiPhoneはApple StoreでもSIMフリー版を単体で購入できますし、最近は中古スマホショップでも程度のいいものが割安で購入できます。
このほかにも中古のリファービッシュ品を扱う「Back Market(バックマーケット)」なら、ネットで簡単に程度のいいiPhoneを格安で購入することが可能となっています。
●Back Market(公式)は→こちら
【7】スマホの初期設定を自分でやる必要がある
最近は、物理SIMカードを利用しない「eSIM(イーシム)」も普及してきましたが、格安SIMで契約すると、基本的にSIMカードが単体で郵送されてきます。
この場合は、自分でスマホにSIMカードを挿入して、ネットの接続設定を行わないと、Webサイトの閲覧やLINEなどができません。
このネットの接続設定は「APN(アクセスポイント)設定」と呼ばれており、同梱のマニュアルや公式サイトで検索すれば簡単に設定できますが、デジタルに弱い人には難しい作業になるでしょう。
ただし、家電量販店や実店舗のある格安SIMなら、APN設定もお店側でやってもらえますので、どうしても不安がある人は実店舗で申し込めば解決できます。
【8】支払いがクレカのみで口座振替に対応しない
大手キャリアの場合、月額利用料の支払いは銀行口座の振替も利用できますが、格安SIMの支払いはクレジットカードのみというところがほとんどです。
ただし、BIGLOBEモバイルはデータ通信専用SIMなら口座振替にも対応しますし、mineoはデビットカードでの支払いにも対応しているようです(一部非対応のカードもあり)。
●BIGLOBEモバイル「BIGLOBEモバイル 利用料金の支払方法には何がありますか」は→こちら
ちなみに、デビットカードとはクレジットカードと同じようにVISA、MasterCard、JCBなどで買い物ができますが、決済した瞬間に銀行口座から料金が自動的に引き落とされます。
銀行口座があれば未成年でも作ることができますので、詳しくはこちらの記事を確認してください。
まとめ
いかがでしょうか? 冒頭で格安SIMには8つのデメリットがあると書きました。しかし、その内容をじっくり検証してみると、もはやデメリットとは言えなくなっているものばかりです。
このなかで、とくに注意したいのはAPN設定を自分でやる必要があることですが、これは実店舗を構える格安SIMを利用したり、格安SIMコーナーのある大手家電量販で契約することで回避できます。
また、格安SIM利用者のなかには「回線が不安定になる」「速度が遅い」と感じる人もいるようですが、長年、さまざまな格安SIMを利用している筆者は、回線速度が極端に遅いと感じたことはほとんどありません。
どうしても回線の速度や安定感が気になるなら、格安SIMのなかでも大手のIIJmio、あるいはキャリアが提供する格安プランの「ahamo」「LINEMO」「povo2.0」などを選んでおけば間違いないでしょう。