●企業のマーケティング活用も広がる
一方、企業による活用も始まっている。すでに海外では多くの活用事例があるが、日本企業にもそれが広がってきているようだ。方向性としては企業からの情報発信に利用するパターンと、ユーザーとのコミュニケーションツールとして活用するパターンがある。
企業側の発信としては、企業イメージを見せる動画や、自社の商品・サービスをちょっといじった動画を投稿しているものが多い。Vineらしくループとコマ撮影を組み合わせることで、動画として「ちょっと面白い」ものにまとめると、エンドユーザーに「宣伝を見せられている」という印象を与えずに、楽しみながら企業への親近感を持ってもらうことができる。
ユーザーとのコミュニケーション手法としては、動画投稿を募るような方法がある。テーマや素材を設定したコンテストでも行えば、気軽に応募してもらえた上に企業名や商品名の周知にも役立つ。これまにでも似たような取り組みはいろいろ行われていたが、動画を使った大喜利のようなことがやりやすくなったおかげで、今後はそういったものが増えていくと考えられる。
●炎上には要注意
動画投稿があまりにも手軽なVine。今後の不安として考えられるものが“炎上”だろう。写真をアップロードするのと同じ感覚で動画を投稿すると、問題になることがあるかもしれない。例えば、見た目には問題がなくとも、その動画内で話していた内容が炎上のきっかけになる可能性もある。
また、別の案件で炎上した場合に、過去の投稿を引っ張ってきて追い詰める道具にするような使い方もされるだろう。Twitterに不用意な投稿を行って多くの人から叩かれる、という事例が後を絶たないが、たいていは過去の投稿内容や写真に写り込んだものから居住地域や職場などの個人情報が割り出されている。動画になれば静止画よりずっと情報量が多いので、より迅速かつ詳細に個人情報が特定されるかもしれない。
そうした不安にとらわれて、せっかくの面白い道具を使わないというのではもったいない。見せるものと見せたくないものを自分の中ではっきりさせた上で、活用するとよいだろう。気軽になんでも撮影して垂れ流すのではなく、制作した6秒の「作品」は十分に検討した上で投稿することが自分の身を守ることになり、またより安心して楽しめるのではないだろうか。
(文=エースラッシュ)