実は通話時間あたりの料金が跳ね上がったわけではない。フィーチャーフォン時代には当たり前に存在した、契約プラン内に含まれる「無料通話分」がスマホ向けの料金プランには基本的に存在せず、電話をかけた分だけ追加料金が発生しているため、請求金額を見ると非常に高額に感じられるのだ。
●スマホ向け通話料金プランは、携帯キャリアの新たな金脈?
フィーチャーフォン向けの料金プランには、今でも無料通話が存在する。例えばNTTドコモの場合、基本的に待ち受けばかりで電話はあまりかけない人向けの通話料が割高なプラン「タイプSS バリュー」でも、1000円分の無料通信がつく。この無料通信分を丸ごと通話に使った場合、最大25分電話ができるという設定だ。au(KDDI)の「プランSSシンプル」も、やはり1000円分の無料通話が存在する。どちらも2000円以下の基本料金のプランで1000円の無料通話がつく、という内容だ。
ところがスマホ向けのプランになると、無料通話がなくなってしまう。音声通話はフィーチャーフォンで行おうが、スマホで行おうが違いがない。スマホ全盛になったから音声通話を快適にするために専用設備を新しくつくった、というようなこともない。
無料通話という枠がなくなったことで、多くのユーザーにとって実質的に値上げされたようなかたちになってしまっている。携帯キャリアは3社とも業績は好調で、どこかから少額ずつでも回収しなければやっていけないという状態ではなさそうなのに、残念なことだ。この状態を「改悪」「ぼったくり」と感じる人もいるだろう。
スマホはSNSとの親和性が高く、文字ベースのコミュニケーションが盛んだ。とはいっても携帯電話であるのだから、音声通話をまったくしないという人はそれほど多くないはずだ。新たな投資を行うことなく料金を徴収できるチャンスをつくったのだから、キャリアにとっては新たな金脈なのかもしれない。
●キャッシュバックの原資は既存ユーザーが負担している?
3月は携帯キャリア各社にとって最繁忙期であり、「他社からの乗り換えでキャッシュバック5万円!」というような貼り紙が数多くの携帯電話ショップで見られるようになる。日本の携帯電話市場はすでに飽和状態にあり、携帯キャリアが業績を伸ばすには他社からの乗り換えユーザーを獲得するしかない。1社がこのような取り組みを始めると、キャッシュバックを行っていないキャリアはユーザーを他社に取られてしまうため、各社は同じような施策を行うことになる。