「調理師免許を取ろうと思っている」というフォロワーの意見に対しても、「取る意味全くないよ。そんな暇と金あったら美味い店食べ歩いたほうがなんぼかマシ」と述べ、調理師免許が不要だとする持論を展開した。
「調理師とは、調理師の名称を用いて調理の業務に従事することができる者として、都道府県知事の免許を受けた者(調理師法第2条)」と規定されている。一見すると、調理業務に必要なようだが、「調理師の名称を用い」ることが許されている唯一の資格という意味だ。国家資格ではあるが、飲食店を開業するための必須資格ではない。また、調理師の試験科目は食文化概論、衛生法規、栄養学、食品学、公衆衛生学、食品衛生学、調理理論の7科目であり、実技はない。
つまり堀江氏が訴えたいのは、「調理師の免許があるからといって、料理がうまいとは限らない」「そのような免許を取ることに意味はない」という点にある。また、調理師養成の専門学校にもその矛先は向けられ、「結局、調理師免許も資格ビジネスなんだよね。何も知らない若者たちからカネをぼったくるという」と指摘している。無意味な資格を取らせるために何百万円もの学費を徴収する“資格ビジネス”に一石を投じているのだ。
確かに、弁護士や医師とは違い、免許がなければ仕事をしてはならない資格ではないため、不要だとする意見は飲食業界内で以前からあった。漢字検定や英語検定などと同じく、「就職に有利」といった程度でしか用をなさないのが実情だ。
検定だけでなく、民間企業が独自に認定する資格は数多くあり、そのほとんどは実生活や仕事をする上で必須なものではない。しかし、国内には無数の資格があふれている。その資格を取得するための学校や講座を開設している企業・団体は、資格の認知度が上がるほど安定した収入を確保できるため、広報活動に力を入れたり、あわよくば国の認証を得られるように働きかける。
資格を取得しても食べていけない
一方で、資格を取得した人は、「資格者」という肩書を手に入れた以外に大きなメリットがない場合も多い。弁護士や公認会計士などは開業するために資格が必須であり、無資格者は業務を全面的に禁止されている独占市場である。しかし、飲食店の経営に際しては、調理師資格はプラスに働かない。もちろん、知識はないよりあるほうがいいが、客は店主や料理人が調理師資格を保有しているか否かを確認して来店するわけではない。ただ「料理がおいしいか」「サービスがいいか」といった視点で店を選ぶ。