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単純に利益の過大計上額を比較すると、東芝はライブドアよりはるかに悪質に思える。しかし、会社の規模や経営環境によって、投資家の判断に影響を与える数字としての意味は、大きく変わってくるということも事実だ。東芝とライブドアは、そもそも企業としての規模があまりに違いすぎるため、単純に不正会計の額を比較しただけでは、「刑事責任を問うべきか」を正確に判断することは難しい。
金融商品取引法上の「重要事実の虚偽記載」に対しては、刑事罰までいかなかった場合でも、行政上の課徴金制度が存在する。連結経常利益が数百億円規模だったオリンパスは、約900億円の含み損を計上しなかったことで刑事罰を受けた。一方、連結経常利益が約590億円のところを約780億円と記載した日興コーディアルグループは課徴金処分にとどまっている。
証券取引等監視委員会は、すでに金融庁に対して東芝に課徴金処分を課す勧告をすることを検討しているから、これがなされる可能性は高い。東芝のケースがライブドアと同じく刑事罰まで行き着くかどうかは、重要性の観点から他の事例と比較して最終的に決まることになるだろう。
(文=関田真也/フリーライター・エディター)
【取材協力】
弁護士 佐藤宏和
事業再生、M&A分野に強いセンチュリー法律事務所の所属弁護士。弁護士登録以前に、ソフトバンク、SBIホールディングス等で子会社の上場や、代表者として子会社を経営した経験を持つ。ソフトバンク在籍中に米国公認会計士試験に合格するなど、会計実務にも通じる。
http://century-law.com/lawyers/hirokazu_sato
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