米司法省は現地時間の7月8日、米資産運用会社MRIインターナショナル代表者のエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ被告(ラスベガス在住、68歳)、日本支社長の鈴木順造被告(東京在住、66歳)、日本支社ジェネラルマネージャーの鈴木ポール武蔵被告(東京在住、36歳)の3人を詐欺罪などで起訴した。
これを受けてMRI被害者弁護団(団長:山口広弁護士)は声明を出した。
「3名は、8つの郵便詐欺、9つの通信詐欺で起訴され、フジナガはこのほか3つのマネーロンダリングの罪でも起訴されています。またこの起訴は3被告全員について、これらの犯罪から得られた果実(利益=筆者補記)に対する没収も求めています。(略)(米国司法省、連邦捜査局には=筆者補記)今後もフジナガ・鈴木らの刑事責任実現に向けてさらなる活動をされることを切望します」
だが、この声明は被害者弁護団の勝利宣言にはほど遠い内容だった。
2013年4月26日、MRIの巨額詐欺事件が発覚、5月に被害者弁護団が結成された。弁護団は当初から被害の最大限の回復とフジナガ被告らの刑事訴追の実現を目指して日米をまたいで活動を続けてきた。
今回の米司法省による起訴は被害金額の没収を求めるもので、刑事訴追はなし。没収した資産は米国庫に入り、被害者には戻ってこないということだ。刑事訴追なしだから刑務所暮らしは免れる。これでは弁護団が詐欺集団に勝ったことにはならない。声明文からは弁護団の苦渋が浮かび上がってくる。
巨額の投資詐欺事件なのに、立件されたのは郵便詐欺や通信詐欺など限定的で、あまりに軽すぎるとの印象は拭えない。
フジナガ被告の初公判が7月9日、ラスベガス地方裁判所で開かれた。保釈が認められたフジナガ被告は公判後、地裁の裏口から姿を現したが何も語らず、近くに止めてあった自動車に乗り込む姿をテレビが映し出していた。被告に同行した弁護士が報道陣に「被告には何も言わないように言ってある。起訴内容などはすべて否認している」と語った。
「保釈金は求められず、代わりに司法当局に居場所を定期的に報告し、9月に予定されている次回の裁判に必ず出廷する宣誓書を提出した」と日本経済新聞では報じられた。フジナガ被告は、白昼堂々と活動できるわけだ。
MRI事件は日本人だけがカモにされた投資詐欺事件である。