8700人から1300億円を巻き上げたMRI
MRIは1998年7月、米ネバタ州ラスベガスで設立された。米国の医療機関が保険会社に医療報酬を請求する権利(診療報酬請求債権)を買い取って回収する「ファクタリング事業」で、資金を運用している元本確保型(元本保証ではない)だから、年利6.0~8.5%の配当が可能だと宣伝していた。
運用資金のほとんどを日本で集めており、8700人の顧客から1300億円の資金を受け入れていると公表していた。
13年4月、日本国内の顧客から預かった資産1300億円を運用せず、関東財務局に虚偽の事業報告書を提出していた疑いがあると報道され事件化した。
事件の主役は社長のフジナガ被告と、日本支社長の順造被告の2人だ。フジナガ被告は、祖父の代に九州地方からハワイに移住した日系3世の米国人。ハワイの銀行などに勤めた後、98年に同僚だった米国人男性と共同でMRIを設立。共同経営者の死後、社長に就任した。
順造被告もハワイ出身。ハワイで旅行会社を経営しており、フジナガ被告とはハワイで知り合ったとされている。MRIが98年に設立すると同時に、順造被告は東京・麹町に東京事務所を開設した。
順造被告と息子の武蔵被告が日本支社を舞台に巨額の出資金集めに奔走した。出資者から集めたカネで鈴木ファミリーは超高層マンションを複数購入しているが、フジナガ被告の豪遊ぶりは半端ではない。事件発覚後、日本のマスコミは大挙して米国に押しかけフジナガ被告の蓄財ぶりを暴いた。
7月9日付ウォール・ストリート・ジャーナル日本版は、こう報じた。
「米証券取引委員会(SEC)は『派手な生活を送るために詐欺を働いた』と断言していた。(略)フジナガ社長の自宅はラスベガス郊外の高級住宅地にあり、ゲートで閉じられた広大な敷地には警備員が常駐。関連会社名義の豪邸もハワイなどに複数あり、売却したロサンゼルス郊外のビバリーヒルズの邸宅は、映画俳優のジャッキー・チェンさんが前所有者だったという」
「SECはMRIの資産凍結などを求めた申立書で、フジナガ社長は投資家の出資金を無断で関連会社に移した他、高級車の購入やクレジットカードの支払いなどに流用したと指摘。離婚した妻の生活費や子の養育費にも月2万5000ドル(約300万円)を使っていたと言及した」
フジナガ被告は、集めたカネを私生活で湯水のごとく使っていたことになる。