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裕福で勤勉、しかし幼児期には通行人にスカートめくり…「煽り運転」宮崎文夫容疑者に潜んだ傲慢さ【沖田臥竜コラム】

文=沖田臥竜/作家
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写真はイメージ(右下は宮崎容疑者。自身が経営する企業のHPより)

 昨年3月、京都市内で乗り込んだタクシーの運転手に対し、「降りたら殺す」などと脅し、そのままタクシー運転手を監禁したとして逮捕された男がいた。その男こそ、今回、一連の煽り運転で社会的騒動を巻き起こした宮崎文夫容疑者であった。

 著者にコンタクトがあった宮崎容疑者を知る同級生によれば、彼は公認会計士の家庭に生まれ、裕福な環境で育っている。しかしそんな環境にありながらも、小学生時代の宮崎容疑者のわんぱくぶりは目に余るものがあったようだ。小学生時代のエピソードの中のひとつには、こういったものまであった。

 小学生時代の宮崎容疑者は、近所の商店街を通行する、見ず知らずの女性のスカートをめくったり、お尻を触って逃げたりするなどして遊んでいたというのだ。

 それが大阪市生野区内の市立中学へと入学すると、一転することとなる。クラブ活動には所属せず、帰宅後は家に帰って勉強三昧の日々を送っていたというのだ。その甲斐あって、成績は常に学年トップ3に入っていたといい、高校は大阪府内でも優秀校として知られる天王寺高校へと入学し、卒業している。

 その後、塾の講師なども務め、大手企業へと入社。現在は、自ら不動産関連会社を起業し、経営者となっている。宮崎容疑者は、エリート街道ともいえる道を歩んでいるように思われた。だが、徐々に宮崎容疑者の根に潜んでいた、凶暴で自分本位の性格の片鱗が鎌首を持ち上げ、表面化していったようだ。

 いわゆる社会の勝ち組と呼ばれる人種に入っていた宮崎容疑者は、高級車に惹かれ、特にハンドルを握ると、その凶暴性が表出し、無鉄砲な振る舞いを起こすようになってしまったのでないかと前出の知人は指摘する。それが、一連の煽り運転や傷害事件へとつながっていったのかもしれない。

 近年、問題視されている煽り運転。だが、特殊詐欺のように、時代が生み出した産物かといえば、決してそうではない。呼び方こそさまざまであったが、運転時のトラブルや争いは昔から少ならからずあったものだ。

「監視カメラもドライブレコーダーも少なく、誰もが携帯で録画などもできない時代にも、煽り運転は多発していた。ただ、犯行の記録が残されない中、それが見過ごされるケースが多かった。対して、宮崎容疑者のケースは一部始終が記録されていたため、解決につながった。こうした映像や事件が表沙汰になることは、煽り運転やそれに起因する事件への抑止力になるでしょう。また、現在、煽り運転には、道路交通法違反のほか危険運転致死傷罪が適用されることになりますが、当局が積極的に取り締まっていたかといえば、そうではなかった。今回の事件をきっかけに厳罰化が進んでいくことになるでしょう」(犯罪事情に詳しい専門家)

 恵まれた環境で育ち、秀才となった宮崎容疑者は、すべてが自分の思い通りにでもいくという錯覚に陥っていったのかもしれない。その傲慢さが、エリート街道を駆け抜けて行こうとしていた宮崎容疑者を自ら失落させ、奈落へと突き落とすこととなったのだ。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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