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交付金の傾斜配分で振り回される国立大学
国立大学法人法には、「国立大学は複数の機能を担うことを期待する」旨が明記されており、特定の機能に限定するのは違法といえる。このため、今回の改革について、政府は、「各大学の機能を、特定の機能だけに限定するという趣旨ではない」としている。
しかし、「運営費を傾斜配分され、格差が生まれるのであれば、大学を運営する上で、特定の機能に重点を置かざるを得なくなる」(国立大学関係者)という声もある。
前述の3つのグループ分けは、すでに終わっている。国立大学86校のうち、「地域貢献」には横浜国立大学など55校、「特定分野」には東京藝術大学など15校、「世界水準」には東京大学、京都大学など16校が入った。
文部科学省は今のところ、交付金の傾斜配分について詳細を明らかにしていない。しかし、16年度から、交付金の一部は傾斜配分されることになる。
国立大学である以上、運営に国が関与するのは仕方ない。また、学術分野に対する国家としての考え方が、国立大学に反映されることもあるだろう。しかし、「世界大学ランキングトップ100に、10校以上をランクインさせる」という政策目標のために国立大学教育が振り回されるのは、本当にいいことなのだろうか。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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