その背景には、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が派遣制度を整えていることもあって、選手や指導者など累計で100人を軽く超える日本人サッカー関係者が在籍し、リーグの発展に貢献してきた事情がある。
タイ、シンガポールをはじめ、ラオス、カンボジア、ミャンマー、フィリピンなども移籍先として注目を集めている。特にフィリピンやカンボジアでは、日本人のクラブオーナーも登場し、東南アジアと日本サッカーの関係性は強まるばかりだ。ただ、一方では「そんな“日本人バブル”はいつまで続くのか?」という懸念の声があるのも事実だ。今後もアジアは日本人選手の移籍先となり続けるのか。東南アジアで最も日本人の在籍数が多いタイリーグの関係者の声から、今後を紐解いていく。
ここ数年で爆発的な成長を見せるタイリーグ
現在タイでスクール運営を行い、指導者として活躍する相原ユタカ氏は、まだタイリーグの注目度が低かった2003年に移籍してプレーした、日本人選手の草分け的存在だ。相原は当時タイリーグの情報をまったく持っていなかったが、指導者を志す上でプロ選手としての肩書きを得るために、タイに渡ることを選択した。
「当時と比べると、待遇面が大きく変わったと思います。私がプレーしていた時は、勝利給などもろもろ含めて月2万バーツ(7万5000円)ほどで、好条件というわけではありませんでした。日本人選手がタイでわざわざプレーするという選択肢がなかった時代で、サッカーで生計を立てることは困難でした。サッカーのレベル事態は低いとは思いませんでしたが、タイ人からの注目度も決して高くありませんでした。ただ、各クラブの資金力が増えたことで給与水準が上がり、リーグでプレーする外国人の質がここ数年で格段に上がっています。練習環境も当時とは雲泥の差です」(相原氏)
需要の減少による影響はあるが、一定のニーズは保たれる
バンコクでIT企業の代表を務めながら、エージェントとして数々のJリーガーのタイ挑戦をサポートしてきた内田淳佑氏。内田はこれまで60人以上の移籍のケアや契約に携わってきた。特に元Jリーガーからの信頼は厚く、日本からの移籍事情にも精通している。