男性の5人に1人は生涯独身。結婚する夫婦のうち約3割が再婚。
昔は、結婚するのが当たり前、バツがつくと再婚しづらい、と言われていたが、時代とともにこういった常識は変化していくものだ。
『令和の新常識』(日本の新常識研究会著、PHP研究所刊)では、歴史や法律、社会、科学、健康、美容など、幅広い分野にわたって、近年変化した常識を紹介する。
「結婚するのが当たり前」も「離婚すると戸籍が汚れる」ももう古い
冒頭のように、結婚についての常識も今と昔では変わっている。
「男なら結婚して初めて一人前」という考え方はもう古い。NHKの調査では「人は結婚するのが当たり前」と考える人は1984年で全世代の約6割だったが、2018年には3割以下と大きく減っている。
厚生労働省の調査によると、50歳時点で一度も結婚をしていない人の割合は、1970年で男性が1.7%、女性が3.3%だった。ところが、2010年には、男性が20.1%、女性が10.6%で、10人に1人という結果になっている。2035年には、男性は約29%、女性は約19%になると予測されている。
つまり、誰もが結婚するのがふつうという時代は終わりつつあるのだ。結婚していないから肩身が狭い、という思いをしている人も今はまだいるかもしれないが、いずれそういった感覚を持つ人は減っていくのかもしれない。
離婚歴についても同様の変化がみられる。
「バツイチ」は、1992年に明石家さんまさんが離婚会見で発言したことから広まった言葉。昔は、一度バツイチになると、再婚するのは難しいといわれていたし、離婚することを「戸籍が汚れる」とも表現されてもいた。
厚生労働省の調査によると、「夫妻とも再婚またはどちらか一方が再婚」は、1975年に約13%だったが、2015年には約27%にまで増えている。そのうち、離婚後5年以内に再婚した割合は、30歳前半までの男女で30%以上だった。また、「夫婦とも再婚」の平均年齢は、男性で46.5歳、女性で42.7歳だった。
結婚観は人それぞれ。独身やバツイチをネガティブと捉える人は、時代の変化とともに減ってきているといえる。
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本書では、社会的な常識の変化とともに、歴史についての常識の変化についても触れている。
有名なところでは、「イイクニつくろう鎌倉幕府」の語呂合わせで覚えた鎌倉幕府成立年の「1192年」が、2007年から「1185年」と教科書の内容が改訂されている。
現在の社会常識だけでなく、過去の歴史についての解釈も変化していくもの。そう考えると今身の周りで語られている言説について、過剰に気にする必要はないと思えてくるのではないか。『令和の新常識』は知らぬうちにとらわれている思い込みや人間観、世界観を見直して、柔軟な考えを取り戻すための手助けになってくれるはず。時代の変化に取り残されないために、古い常識をアップデートしてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。