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精神疾患の社員を皆の前で容赦なく攻撃!某有名会社、驚愕の退職強要が発覚!

構成=吉田典史/ジャーナリスト
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精神疾患の社員を皆の前で容赦なく攻撃!某有名会社、驚愕の退職強要が発覚!の画像1「Thinkstock」より
 労働組合・東京管理職ユニオンは、1993年に結成された。会社に団体交渉を申し入れ、激しく責めることで恐れられてきた。経済界やメディア、警察からもその戦闘的な姿勢が問題視されたことがある。

 結成当初から書記長などとして中核を担ってきたのが、設楽清嗣氏だ。現在は一線を退き、アドバイザーとしてユニオンをサポートする。

 設楽氏は、最近、団体交渉のあり方が変わりつつあると指摘する。

「90年代は、会社も我々も激しく言い争うことができた。怒鳴り合いもあった。ある意味で、ラフな時代だった。最近は、会社の対応が精密化している。記録をきちんととり、戦略を練って接してくる。労働者に不利な事実を強引につくり上げたり、でっち上げたりして、それを突き付けてくることが巧妙になっている。一段としたたかで悪質になった」

社員を罵倒する弁護士

 設楽氏は、労働者やユニオンに対して攻撃的な姿勢をとる弁護士が増えている、と怒りを込めて語る。

「先日、有名な外資系の証券会社と団体交渉をした。そこに勤務する男性が、我々のところへ相談に来たのだが、どうやら退職強要を受けているようだった。2年ほど前に中途採用を経て入社したが、同世代の中で賃金が多少高かった。そのため彼の上司は、ほかの社員がミスをしても責めないのに、その男性の場合はささいなミスでもしつこく追及し、退職勧奨をした。つまり、退職させるための“いじめ”だ。

 我々は当該会社に団体交渉を申し入れ、人事部と話し合った。その場には、会社が雇った50代の男性の弁護士が現れた。弁護士は実績が豊富で優秀ではあるが、話し合いの場で当事者である組合員をなじることがある。『こんなミスをしているのか。あなたは管理職だろう。高い給料をもらっているのに』などという具合だ。

 団体交渉の本題と関係ないようなことを持ち出し、皆の前でなじる。これでは、その組合員はますます落ち込んでしまう。上司のいじめで、すでに精神疾患になっていたにもかかわらずだ。

 団体交渉が始まる前に、今回の相談者である男性に、『会社が雇った弁護士があなたに厳しく言うが、ひるむなよ』と声をかけておいた。彼も心得ていたようだが、いざ交渉が始まり弁護士が大きな声でなじると、たじろいだ。それでも、懸命に反論していた。あのファイティング・ポーズが大切で、逃げたらダメなんだ」

 団体交渉では、弁護士が情け容赦なく彼を攻撃した。男性が何かを言えば、すかさず反論して何も言えないようにし、まくしたてる。男性の横にいる設楽氏たちも弁護士に言い返す。しかし、弁護士は男性に狙いを定め、徹底して攻撃を仕掛けてくる。設楽氏は、こんな分析をする。

「90年代には、こんな弁護士は少なかったが、最近は少しずつ増えている。この弁護士は、団体交渉の場にいる人事部員に勇気を与えるために、我々の組合員である男性社員をなじっていたのだろう。

 人事部員も調子に乗って、『あの時に、あなたはこんなミスをした』などと言い始めたため、男性は自分の正当性を立証しようと必死に反論した。すると、また弁護士がなじるというような応酬が何度も続いた。そして我々は団体交渉を打ち切ったのだ」

 ユニオンから会社の人事部に、団体交渉で行き過ぎた発言などがあったことを抗議する通知書を送ったところ弁護士から電話が入り、設楽氏との間で解決策が話し合われたという。

 ちなみに、この弁護士が所属する法律事務所は、経営側の法律事務所としての実績は全国で指折りである。多数の優秀な弁護士を抱えていることでもよく知られている。

困難に立ち向かうからこそ、力や自信が身につく

 設楽氏は、会社員の姿も変わりつつあると指摘する。

「団体交渉を終えて、私が『このやりとりを議事録にまとめてください』と言うと、きちんと取り組む人が多い。ユニオンを結成した90年代前半は、団塊の世代が多く、『なぜ、議事録なんて必要なんですか』などと反論をしてきた。今の30~50代でそんなことを口にする人は、ほとんどいない。素直なのだが、骨のある人がものすごく少なくなった。労働組合ユニオンに入り会社と争うならば、喧嘩ができないといけない。相手に立ち向かう気構えでないと、経営側には対抗できない。

 先日、居酒屋に入ったら、20代くらいの会社員が10人近くいた。皆、じっとスマートフォンを見て、時折談笑する。酒もさほど飲まない。会社の上司を批判するなど、一切しない。ひたすら、スマホを見て小さな声でささやき合う。会社からすると、こういう人たちは簡単に辞めさせることができるだろう。90年代の初め、すでにこのような傾向があったが、最近は一段と目立つように思う」

 50年を超える闘争の人生を終えた設楽氏は、次の世代を担う人たちに、こんなメッセージを送りたいという。

「人間として強くならないといけない。今は、会社員として“ふぬけ”の人が多すぎる。不当な行為を受けたり、いじめをされたりしても反撃ができず、ただ黙っているだけ。辞表を早々と出して逃げていく。私は、そんな姿を見るのが耐えられない。

 こういう人は、社内のトラブルだけでなく、家族や親類、近所などとのトラブルからも逃げの姿勢なのだろう。社内の仕事や取引先とのトラブルを避けたがる。『トラブルから逃げるなよ』と言いたい。ファイティング・ポーズが大事なんだ。『闘ってやるぞ』と身構えると、なんとかなるものなのだ。そうすれば必ず、やがて状況が変わってくる。

 困難に立ち向かうからこそ、それを乗り越える力や自信が身につく。逃げていると、生きる姿勢に腰が据わらず、ふにゃふにゃしたままだ。トラブルから逃げて運よく出世したところで、それはろくでもない人生だ。トラブルから逃げて出世できないのも最低だ。トラブルに向かい合い解決をしようとした人は、出世しようとしなかろうと矜持を持って生きていくことができる。それこそ、いい会社員であり、いい人間なのだと私は思う」

 東京管理職ユニオンに入り会社と争い、決着した後に離れていく組合員へ設楽氏は、こんな言葉をかける。

「向かい合い、闘うのが人生。ユニオンで学んだことは忘れるなよ」
(構成=吉田典史/ジャーナリスト)

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